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第二十七話:キェアアアアシャベッタァアアアア!!!

エルルーシュさんの血をたっぷり吸った杖は進化していた。木の部分に埋め込んでいたはずの宝石が浮かんでいた。木だった部分も、脈打ってるような気がする......か、鑑定!


【━━━━━の黒杖】

・エルルーシュの血と魔力を吸い上げた杖。死者の魂を縛り苛め、膨大な魔力を発生させる。

【恩恵:エルルーシュの血と魔力】

・魔力増大

・魔法強化

・魔法耐性


......わぁお。すごいことになってる。ところで、なんで「の黒杖」だけになってるんだろう?


『あたりめぇだろ、主が名前つけてくれねぇからだよ』

「へぇ~そっか~」

『早く俺に名前寄越せよ』

「うん、わかっ......」


まて、私は誰と会話してるんだ?アルニカちゃんもユグルくんもいないはずだぞ?誰だ?


『俺だよ、俺!お前が今手に持ってる黒杖様だよ!』

「」

『あっちょっとお前!なんで俺を捨てていこうとする!やめろ!ある程度成長したらこれくらい当たり前だぞ!』

「当たり前、ねぇ......。」


そんなこと言われてもこっちからすれば初体験なんだけど。ってか、ある程度離れても念話はできんのね。


『つーか、主は異世界の人間なんだな。』

「あぁ、そうだよ。そんなこともわかんのね。」

『あったりめぇだろ!俺らだって軽く主のステータスチェックのために鑑定みたいなのがあるんだからな。』

「へぇ。」

『で、早く俺に名前をつけてくれよ。』

「名前......?あ、もしかして━━━の黒杖ってなってるところ?」

『そうだよ。大抵は完成したらすぐに名付けられるのに、主ときたら勝手がわかってないから名前くれねぇし』

「......ごめん」

『いーや、言わなかったあいつらも悪い。杖はな、名前がないと威力とかなんでも半減しちまうし、もし誰かに奪われてその誰かが名前をつけるとそいつの所有物になるんだよ。』

「つまり、あいつらは私が死んだあと杖を回収して自分のものにしようとしてたってこと?」

『あぁ。強くなった杖を回収するだけの簡単なお仕事だからな』


うわぁ、ネクロマンサーどんだけ嫌われてるんだ。それと、あの集落を潰すことが私のなかで決まった。許さん。それと、今までは半減の威力であんな風に蹂躙できたってことは、名前がつくと......


『主の想像通りだぜ』

「まじかー」

『あぁ。だから早く名前をくれよ。』

「せっかくだし、考えさせてよ。」

『おう。なにせ名前は一度だけしかつけられないからな。』


一度きりか。ならじっくり考えよう。そうだなぁ、もう黒杖って名前がついてるから、黒系は外して、宝石の色を名前にするか。紅色のなかに紫色が混じってて、瞳のような筋がまっすぐとおっている。しかも、その瞳に見える部分がぼやけないから見られてるって感じがヤバイ。


「ねぇ、もしかして宝石イコール眼の役割って感じ?」

『よくわかったな。そうだぜ。最初はなにも見えなくて、明暗がわかるくらいなんだ。俺くらいになればハッキリとわかるぜ』


なるほどなぁ。さてと、悩むなぁ......。この紅色と紫色のなんとも言えない色の名前......あるかなぁ。いや、あるはずなんだけど私がわかんないだけかぁ。そうだ、図書館で見た色の名前図鑑にこんな感じの色の名前あったな。確かモーヴ......フランス語で葵を意味するモーヴェインだったかなぁ。きれいな紫色だったなぁ。たぶん、色で名前をつけると多少石に変化が起きるのかな?よし、決めた!


「決まったよ。」

『そうか、なら主の胸に俺を刺せ。』

「エルルーシュさんの時みたいに?」

『あぁ。そうすれば俺を体内に保存できる。杖で誰かってのも特定されにくくなるぜ。』

「あー、一つとして同じ杖はないってやつ?」

『そんなところだな。初心者ならあんまり変わることがねぇが、ここまで来るとな、同じものがまず出来ねぇ。』

「なるほどねぇ。」

『俺の言葉を復唱しろ。刺せっていったら刺せ。』

「わかった。」


すぅ、と深呼吸して杖の先端を私の前で構える。


『汝は杖。我は主。今から行うは名付けの儀なり。』

「汝は杖。我は主。今から行うは名付けの儀なり。」

『汝は我の物。これより汝に名を与える。汝の名は......。』

「汝は我の物。これより汝に名を与える。汝の名はモーヴェイン。」

『いざ、我の心の臓腑をもって契約せん。......唱えたら刺せ。』

「いざ、我の心の臓腑をもって契約せん!!」


私は勢いよく心臓へ杖を突き刺した。刺すと言うよりはまるで沈んでくるように私の胸へと杖が沈んでいく。痛みはない。むしろ、なんだか足りないような部分が埋められていく感じがする。気持ちいい。モーヴェインの黒杖......うん、響きも悪くないな。そんなことを思いながら私は意識を失った。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


目が覚めると、そこは寝室。隣でアルニカちゃんがすやすやと寝息をたてている。おそらく、意識を失った私を見つけて、どちらかがここまで運んでくれたんだろう。野ざらしじゃまずいもんね。いい子だなー。よしよし。


「ん......。」

「あ、おはようアルニカちゃん。」

「......!シキミおねえさま、目を覚ましたのですね!もう、心配しましたよ!」

「あはは、ごめんね。杖に名前をあげたら、意識なくなっちゃった......。」

「今まで杖に名前を与えてなかったのですね。あの村の無能どもはお姉さまの杖を奪おうとしたのですね。なんと汚らわしい......。」


んー、アルニカちゃん?一応あの村と似たところで育ったんだよ君?まあ、よしとしよう。そういえば杖はどこにいったんだろう。


『ここだよ、ここ』


そう言って杖が私の心臓辺りからにゅっと出てきた。宝石も紫色が強めに出ている。アルニカちゃんはちょっとびっくりしたらしく、小さく声を漏らした。


「びっくりした」

『自分で刺したんだろ。』

「まあね。」

『これで俺は主のもんだよ。』

「ん。ならよし」

『モーヴェインの黒杖......かっこいいな。なぁ、モーヴェインってどういう意味だよ?』

「葵って言う植物の名前だよ。」

『へぇー。これからよろしくな、主。』

「ん。」


こうして私はさらに強いネクロマンサーになれたのだ。とてもうれしい。これからも強くならなきゃなぁ......。

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