第二十四話:人間以上、魔族未満。
ダヴィルさんの死によって、私は現実を思い出した。そう、彼の言う通り私は人間以上、魔族未満だ。どうあがいても魔族にはなれない。私は異世界からやって来て、追放された人間にすぎないのだ。魔王様の神酒によって不老ではあるが、単に年を取らないだけの人間なのだ。どうしよう、正気に戻りすぎてさっきまでの行動が黒歴史になってきた。穴があったらそこに入って恥ずか死したくなってきた!ダヴィルさんありがとう!でもちょっと恥ずかしすぎるから後追い自殺していいかな!......はぁ、そんなことしてる場合でもないな。私は幹部だし、仕事しなきゃいけない。今日は弔い合戦じゃ。ダヴィルさんが勇者と出会った町に行く。行って滅ぼす。魂を捕まえて縛る。すべて問題なし。さて、アルニカちゃんも心配してるだろうしダヴィルさんの城まで戻ろう。今はそこが私の家だ。
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「おねぇさま!大丈夫ですか!?」
熱烈なハグを受けつつもアルニカちゃんにそっと用件を伝える。
「行くよアルニカ。弔い合戦だよ。」
「......ダヴィル様のでございますわね。かしこまりました。」
んー、仕事モードのアルニカちゃんは本当に好みなんだけどナー!さて、配下は無し。今回は全力で蹂躙するから私の魔法だけで十分、捕虜も何もないよ。みんな殺す。取りこぼしたらアルニカちゃんに殺してもらう。そうやってみんな物言わぬ屍に変える。そして黒歴史生産になるけど私のシンボルマーク的なものをつけておく。魔族にはまだまだ強い幹部がいるぞ、って言うね。よーし、町に向けてしゅっぱーつ!
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町は勇者がいないこともあって警戒しまくりだった。報復されることはわかっていたっぽいね。ま、そんな警戒したって無駄だけどねー。
「それじゃあ、アルニカちゃん、取りこぼしよろしく~」
「かしこまりました。」
さーて、何召喚しよっかなー。アラクネだと芸がないし、派手にやりたいからなぁ......。そうだ!あれにしよう。有志の参加でいつのまにかいてた奴!そうと決まれば集中して、魂を選んで、魔力を注いで......いでよ!巨人ゾンビ!これなら派手だしいいよね!ついでにちょこまか逃げるやつにはゾンビでも出しておくかぁ。で、私はそれを眺めながら黒歴史シンボルでも考えますかねぇ。悲鳴をBGMに、とりあえず地面にラフをたくさん描いてみよう。そうだなぁ、私の立場である人間以上、魔族未満をモチーフにしよう。そうなると半分は人、もう半分は魔族って感じのやつにしようか。そうだなー、半分はフードを被った人間、半分は角を描いて笑ってるって感じにしようか。うん、ならもうちょっとこれをこうしてああして......
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「主、終わりました。」
アルニカちゃんの声によってすべてが終わったことを知る。町の方は建物が巨人によってペチャンコになっていた。巨人の方はと言うと、魂が杖からなくなっている。満足して出ていったみたいだ。来世は幸多からんことを。それならシンボル描きますかぁ。
「アルニカちゃん、刷毛持ってきてくれた?」
「もちろんでございます。」
「なら、人間の死体を集めて血を抜いて、それを絵の具がわりにするから」
「かしこまりました。」
即座にアルニカちゃんと配下であるインビジブルが集めにまわる。私は広場辺りをきれいに清掃......といっても瓦礫とかを吹き飛ばすだけだけど、をやってアルニカちゃんたちが運んできた壺に貯められた血を刷毛にたっぷりつけてマークを描き始める。生存者がいないか確かめに来た人間達に、今まで姿を見せなかった幹部がいるということを伝えるために。それが魔族ではないことを伝えるために。復讐のために。
さて、シンボルは描けたけど物足りないから人間の死体も使おう!死体をシンボルの周りを囲むようにぐるっと積み上げて、最後に残った血で「これは復讐である」と書けば......よし!完成!とてもいい感じじゃないか?
「どうかな?アルニカちゃん」
「素晴らしいです。残酷さが滲み出ております。」
よし、魂もみんな縛ったしここにはもう用もないし、帰ろっかぁ。第一発見者の反応が楽しみだなぁ。
「帰ろっか、家に」
「かしこまりました。」
アルニカちゃんと並んで城へと歩く。
......私はシキミ。人間以上、魔族未満の存在で、魔族とともに歩む者である。今日をもってその存在を人間に知らしめ、完全なる敵であることを公表する。同じように異世界からやって来た勇者と人間達よ、覚悟しろ。




