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第回想話:ダヴィル

短いよ

俺は先祖帰りだ。父様と母様、どちらのかは今でもわからない。とにかく俺は魔族として産まれてしまった。二人は俺の存在を隠し、物心がついた頃にバレてしまい家族全員で追放されてしまったがなお愛してくれていた。そんな二人のお陰で、俺は人間を憎むことはなかった。興味もなかった。幹部にまで登り詰めたときなんて、どこから仕入れたのかケーキを作ってくれたりもした。神酒によってバルバロスの面が強化されてもなお、愛だけは変わらなかった。二人は年老いても俺のことばかりだった。


そんな二人が眠ったのはもう5000年も前だ。俺は勇者が死ぬのを3回見た。死体はみんな野ざらしにはしない。今までの勇者と同じように簡素だけど墓を作ってやり、丁寧に埋葬する。これで、俺が幹部になるまでに来た勇者も含めれば9回目だ。今回の勇者達はあまり仲が良くなかったな。裏切り者が出たところで何ができるわけではないがな。


新たな勇者達が現れる頃、神経の図太いその女は現れた。シキミと言う女は四人の配下になることを選び、逃げることなく毎回やって来た。辛くないかと聞けば、辛いが死ぬことはないと笑って答えた。久々に奴隷ではなく、会話のできる人間と会えたと思った。けれど、シキミは幹部クラスになってから少しおかしくなってきた。厳密に言えば壊れ始めている。人間をやめようとしている。それだけはダメだ。お前は人間以上だが、それだけだ。魔族ではない。どうにかしてそれだけは伝えねば。何かの弾みで憎しみにとらわれ、人間を殺すだけの装置にならないようにだけはしないと。


そうだ、記憶を見せよう。俺が死ぬとき、力と記憶をあいつに与えよう。その頃にはあいつはきっと殺したやつらに対する憎しみや怒りを相当抱え込んでしまうはずだ。俺や他の三人は人間であるお前が好みであって、殺すことだけを考える兵器なんて興味がないと言うことを知ってもらわなければ。俺は人間に興味がなかった。だけれど、シキミだけは特別だった。他はどうか知らないが。

だが、これで正気に戻ってくれると俺は信じている。


勇者に斬られた腹の痛みが俺を現実へ引き戻し、ゆっくりと死が近づくのを感じている。シキミに伝えるまでは死ねないが、死んだ後はどうなるのだろうとぼんやり思った。知らせを受けてやって来たシキミに俺の心臓を喰うように指示をした。迷うことなく二つ返事で引き受けた。ああ、目に暗い復讐の炎が渦巻いているのが見える。俺の記憶を見て、元の人間らしさを思い出してほしいと願い、俺の意識は闇に沈んだ。



目を覚ますと、そこには父様と母様がいた。俺の姿はちょうどバルバロスの部分が強くなるまえの頃の姿になっていた。......父様、母様、そこにいたんですね。また三人で暮らしましょう。これからは、ずっと一緒です。

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