第二十三話:侵略の代償
グロいよ!
あれからは毎日取った取られた取り返した取り返されたの大合戦。勇者は勇ましく飛び回りあちこちを助けている。こちらだって負けてはいない。ゾンビは有志でも増えるのだよ?魂を縛ると言っても解放されることはあるんだし、有志は勝手に抜けることができるから優しいよ!あ、まぁ、縛られた魂の解放は杖の持ち主次第だけどね。
しっかしここはしぶといな。なんでもAランクの冒険者がいるらしいからなぁ。ゾンビどもじゃ相手になんないかぁ。でもアラクネだと面白くない......そうだ!私が出てやろう。無理そうならアラクネ出しちゃえばいいんだし。
「主、もしかしてだけど自分が行こうとか思ってないよね?」
「そのもしかしてです。いざとなったらアラクネ出して逃げるからさー!」
「もう!わかりましたけど。無茶はしないでくださいね。」
さすがアルニカちゃん~主のやりたいことわかってる~♪
それじゃ、行ってきまーす!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「む、誰か近づいて来るぞ。あれは......Aランクか!?お前たちは近づくな!俺達が倒してやるぜ!」
おーおー、威勢がいいなぁ。で、職業は......剣士、アーチャー、ウォーリアー。んで、魔法職系は二人かぁ。っと、魔法を足元に撃ってきやがった。
「魔族よ!何のようだ!貴様らにここは渡さんぞ!」
「こっちの台詞だ。私がもらう。」
「Aランク冒険者【白い翼】が相手だ!」
そういってウォーリアーが私に向かってハンマーを振り下ろしてくる。私はそれをぎりぎりで避け、アーチャーが放った矢を杖で弾く。すかさずグラスカッターを魔法職が一人撃ち出すがこれをファイヤーカッターで倍返しに。剣士も襲ってくるけどそれを杖で防ぐ。
「くっ、さすがAランクだな。だが負けん!」
うぉっ、杖ごと弾かれたっ。ウォーリアーのハンマーを間一髪で避け、杖をしっかり握り直す。さて、この五人と遊んでもいいけどあまり長引くのも芸がないからなぁ。早く次の場所にも行きたいし、ここはさっさと決着をつけよう。それなら、まずはヒーラーを潰さなきゃ。回復されたら元も子もねぇし。それなら「一撃で脳天をぶち抜く」のが一番だ。狙われてるのはわかってるだろうから、見ないで撃つっていうかなり難易度高めだけどやるしかない。
となると目眩ましをするかぁ。杖の中の魂を引っ張り出す。
「な!?この期に及んでゾンビか!鬱陶しい!」
「気を付けて!そいつらグールよ!」
んー、残念!こいつはレヴナント。束縛による苦痛を生きているものへの恨み怨みに変成させた元人間ってところかな?もちろん強さも破格になってるよ!ほらほら、がんばってね!
さて、私は......目線はアーチャーに向けて、杖を構えて呪文を唱える。
「イヴァン!狙われてるわよ!気をつけ━━━━━━」
ぐちゃっ、ブチブチッ、という鈍い音がする。隣にいた魔法使いの子がヒーラーを見て、悲鳴をあげる。そりゃそうだよね。私でもちょっとこれはって思っちゃうもん。私の放った魔法、ウインドカッターでヒーラーの口から上がきれいに吹っ飛んでいっちゃった。後ろで守られていた村人の中に落ちたっぽく、悲鳴が上がる。で、魔法使いちゃんも煩いからアクアバレット!やったね!脳みそ貫通成功!あ、アーチャーの子が逃げ出そうとしてる。逃がさないよ!ストーンニードル!アーチャーの子の足元から生れた土の鋭いトゲがその子を串刺しにする。うわっ、未だ生きてるよ痛そう......。レヴナントを倒し終わった前衛職二人がやっと異変に気づいたけど、残念!もう三人はあの世だよ!二人も仲良く死のうね!さよなら!ファイヤーストーム!
業火に焼かれる二つの人間の悲鳴を聞きながら、さっきまで籠城に使われてた門を開ける。降伏しようとしたやつをグラスカッターで黙らせたあと、ゾンビとレヴナントの餌にした。残りの人間は適当に殺して魂をみんな縛り付けておいた。
ふぅ、収穫が多かったなぁ。あの冒険者の魂もしっかりともらっておいたし、美味しい場所だったなぁ。そうやってのんびりしていたら、駆けつけたワーウルフによって訃報を聞かされた。私はその子の背にのって急いで戻る。
嫌だ、嫌だ死なないで。お願い、ダヴィルさん!!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ダヴィルさんの城にたどり着くと、みんなが集まっていた。勇者と戦ってやられたそうだ。......おのれ、勇者め。絶対に許さない。見つけたら一人残らずむごたらしく殺してやる。ダヴィルさんを苦しめた以上に苦しめてやる。命乞いしようが泣こうがわめこうが、絶対に許すもの。憎い、憎い、憎......
「......シキ、ミ......」
「だ、ダヴィルさん喋らないで......!」
「......俺はもう無理だ。それくらい自分でわかる。お前に......たのみがある。」
「なに、ダヴィルさん......?」
「俺の......心臓と血を飲め。」
「......!......わかった。」
弔いの意味を込めて死者の一部を食べると、その力を自分のものにできるっていうのは、ダヴィルさんから教えてもらった。だから、私はそれに迷いはない。
ダヴィルさんがだんだん冷たくなっていって、最後は眠るように逝った後、私はダヴィルさんの胸を切り開いてそのきれいな心臓を取り出して一息で食べた。そのあと、血も一滴残らずすすった。
......ダヴィルさんは、一つだけ伝えてなかった。いや、むしろ身をもって知ってほしかったのかもしれない。取り込んだ代償に、その人の人生を見はめになるってことを。そうしてでしか、私に伝えることが難しかったことを。
ダヴィルさんは生粋の魔族じゃなかった。
人間から生まれた「先祖返り」だった。
これからはペース落ちることが多くなります。最初より勢いは落ちるけどちゃんと書くのでそこは安心してください。




