第十二話:適正職業【ネクロウィッチ】
私は今日、まだ人間が抵抗している場所の近くに建てた駐屯地にいる。ここは思ったよりしぶとくて、ダヴィルさんでも苦戦している。
......あれから2年、私は恐らく二十歳になりこの世界の情報もすべて知った。魔族視点だけでなく、人間の視点の歴史でもだ。グラズさんの部下である、ユーギア先生はどちらもの視点も持つことが大事だと言うことを知っていて、みっちり教え込まれた。体力仕事より辛かったのは内緒だ。グラズさん?寝てたよ。エルルーシュさんからは耐毒性と痛覚の多少の無視、リリムさんからはさまざまな魔法と夜のテクニック。私自身、ネクロマンサーの力をもっと使いこなせるようになった。そして、私の適正職業は【ネクロマンサー】ではなく【ネクロウィッチ】になっている。魔法も死霊魔術も使える特異型だそう。そして今日、ダヴィルさんのところへ向かうと一言。
「南のリィン王国辺境が邪魔だ。潰せ。」
と言われた。つまり私は試されている。魔族たちに、あの四人に、私は強くなったか、これからも強くなれるかを試されているのだ。一応、ダヴィルさん配下のワーウルフ達が兵として支給されたが、今回は試したいこともあるから先にそっちをやる予定だ。
「シキミサン、俺達ガンバル、シキミサン、俺達指示スル。」
ワーウルフの一匹が尻尾を振りつつ甘えてくる。ワーウルフといっても二足歩行の狼だ。初めてあったときナメられたのでもふってやったらなついたのだ。かわいいやつめ、もふもふもふもふ。
「ありがとう。でも、私は試したいことがあるの。だから、それが終わったらよろしくね」
「ワン!」
ワーウルフに感謝のもふりした後、私は杖を握って外へ出る。杖もだんだん「成長」し、禍々しい黒い杖に変わり、ペリドットだった宝石はネクロウィッチになったときにルビーの猫目石に変化した。さらに魔力があがって力もついたためのようだ。私は陽気な午後に散歩でもするように、人間の拠点へと歩いていく。同じ人間なのに相手を人間と呼ぶことに、私は最近なんの迷いも感じなくなっていた。私はもはや魔族の仲間。人間の仲間でもないし、魔族の奴隷でもないのだから、魔族と同じようにやつらを人間と呼ぼう、と一人決めたのだ。
拠点と駐屯地の真ん中くらいに立つと人間側もピリピリし始める。そして、私の足元に威嚇射撃の弓が撃ち抜かれる。もちろん、私は一歩も動かない。その代わり、こう言ってやる。
「杖に縛られた魂よ、私のために従え。来い、アラクネ。」
呪文を唱えるや否や目の前の土の中から1本の脚が現れたと思った瞬間、巨大なクモが大地を裂きながら目の前に現れた。私の最近のお気に入りのアラクネゾンビグモだ。半年前に一匹仕留めることができてそいつの魂を杖に閉じ込めている。もちろん、魂はもっとたくさんあるけど今回はアラクネだけで十分。私の指示を待ってじっとするアラクネに向かって命令する。
「皆殺しにしろ、魂ごと貪れ」
と。
明日からながーくかけるといいなぁ!(インターンシップ終わりました)




