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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

後味悪いけど、それでも聞きたいの?

作者: 綾瀬紗葵
掲載日:2017/07/28

 夏のホラー企画参加作品。

 今年は短編として合計7作品上げる予定です。

 こちらは6作品目。

 猟奇描写があります。

 また倫理的に色々と問題のある話です。

 あくまでも、創作の世界での出来事です。

 お読みの際は自己責任にて宜しくお願い致します。

 また、タグを見て苦手意識を感じた方は読まない方向でお願い致します。



 ジェットコースター事件の真相究明のためのインタビューに応じて欲しい?

 ご苦労様。

 よく、私まで辿り着きましたね?

 随分無茶されたでしょう。

 フリーのジャーナリストだから、潰されてもいいって?

 その、心意気は買いますけど……報道できなかったら、意味ないじゃないですか。

 っていうか、たぶん、できないと思いますよ。

 記事、買ってくれる新聞社も出版社もテレビ局もいないでしょうね。

 自費出版でも、SNSで流す手もある、ねぇ?

 それだと、妄想としか認識して貰えないと思うけど……。


 まぁ、いいか。

 関係者以外で、知ってる人間が一人ぐらいいても。

 覚悟はいい?

 本当に?


 後味悪いけど、それでも聞きたいの?


 そう。

 じゃあ、話すわね。


 父の実験はご存じ?

 え!

 知らないの?

 えー。

 じゃあ、話すの止めようかしら。


 私のこと、どうやって知ったの?

 元スタッフさんから?

 あーなるほどね。

 そっちからか。

 口止め、したんだけどね。

 口止め料も払ったんだけどね。


 誰から、聞いたの?

 ふーん。

 教えてはくれないんだ。

 いいわよ、別に。

 調べれば解ることだから。


 え?

 追求するわよ。

 約束を破ったんですもの。

 口止め料の返金は必須ね。


 幾ら払ったって?

 ふふふ。

 こちらの質問に答えてくれない、貴女に。

 話す義理はないわ。


 取りあえず、父が何をしているかはご存じ?

 ええ、そうね。

 老人性痴呆症に関する権威って言われているわ。

 薬の開発にも携わっているのよ?

 結構な金額の資金を提供しているの。

 祖父母が痴呆症だから、身につまされているのよね。

 出資しているホームに入れるだけで、子供としては一度も会いに行っていないけどね。

 子供としては、ね。


 ……まぁ、ね?

 そうやって、お金を出しているから、当然実験とかにも口を出しているのよ。

 っていうか、契約書に盛り込んだらしいわよ。

 自由に口だしさせろってね。


 あの、実験は。

 ジェットコースターを使った実験はね。

 昔の記憶を呼び起こさせる刺激を与えたことによる、脳活性化を精査する目的……だったかしら。

 正確じゃないかもしれないけれど、そんな感じ。

 難しい専門用語を並べ立てられるから、今一つ解りにくいのよ。


 とある、老人施設に掛け合ってね?

 その頃は、資金繰りに四苦八苦していたらしい裏野ドリームランドに話をつけたらしいわ。


 遊園地=昔の楽しい記憶。

 ジェットコースター=刺激的な体感。

 

 ってな感じだったらしいわよ。

 お化け屋敷と迷ったらしいけど、お年寄りには刺激が強すぎるんじゃないかって、ジェットコースターになったんですって。

 結果的には、お化け屋敷の方がマシだったんじゃないのかしらね。

 お化け屋敷なら、ショック死しても、まさか、全員死亡はしなかったでしょう。


 全員死亡って情報はなかった?

 まぁ……そうでしょうねぇ。

 当時は判断が難しかったと思うわ。

 それでも、流れた情報に統一性はなかったわよね?

 何で? って思う間もなくく、報道規制が引かれちゃったから、貴女もそこまで拘っているんでしょうし。


 24名乗りのジェットコースター。

 私は一番後ろの席に乗ったわ。

 最後は一番前になったけど。

 事故が起きた時は一番後ろだったわね。

 よく、見えたわよ。

 本当に、よく、ね。


 動き出してね?

 登り始める時、がたん! って音がしたの。

 それはいいのよ。

 実験っていうことで、何度か試した時にも、同じ音がしたから。

 

 でもね、その後。

 すぐに、がたたたたたっ! って、大きな振動があったの。

 今までは一度もなかった振動よ。

 私は、念の為と思って合図をしたの。

 止めて下さいって、あらかじめ決めていたサインを送ったわ。


 それなのに。

 係の人は無視。

 父に至っては、笑顔で手を振り返してきたのよ。

 

 上がっている最中も、ががががっ! がががががっ! って明らかに問題がある異音が鳴り続けているのよ。

 私以外は、初めて乗る人達だったから、緊張して気がついてもいなかったみたいだけどね。

 後ろ振り返って、今度は手で大きく×を作って、最後の警告をしたのに。


 父は同じように手を使って、○、って返したのよ。


 父はね。

 知っていたんだと思う。

 むしろ、事故を計画したんだと思う。

 選ばれた老後施設は、かなり、評判が悪かったから。

 

 その老後施設、どんな症状でも受け入れるって、ホームページに書かれていたわ。

 おかしいでしょう?

 普通は、結構細かく制限しているのよ。

 何か問題があった時のためにね。

 ここまでは、っていう境界線をきっちり決めておくの。

 表向きはそこまでしてなくても、裏ではちゃんと暗黙の了解ってものが存在する。

 だけどその施設は、全くそういった基準を設けていなかったの。


 しかも、定員数30人で、常に空きがあるのよ。

 安価で有名だから、すぐに埋まるはずなのにね。

 それだけ、亡くなる方が多いってことでしょう?

 

 そして、ジェットコースターは天辺まで上ったわ。

 後は下るだけ。

 三カ所、頭が下に来る場所があって、そこはなんともなかった。

 一番スリルがあるって評判が高かった場所も問題はなくて、私は疑心暗鬼が酷かったかな? って頭の片隅で思った。


 次の瞬間だった。


 がごっ! って何かが外れる音がして、二人の人が飛んだわ。

 続けざまに、がごっ! ががごっ! ががががっ! ってね。

 立て続けに音がして、その都度人が飛んだの。

 合計で八人はジェットコースターの席から落下したわね。

 

 ジェットコースターはそれでも止まらなくって。

 必死に席にしがみついた人がいたにも関わらず、引きずりながらスピードを落とすことなく走ったわ。

 

 席にね、しがみついてた人。

 私の目の前の席にしがみついていたのよ?

 途中で、視界が真っ赤になって。

 ジェットコースターが、やっと止まってハンカチで目元を拭いたら。

 まず最初に、その男性の姿が目に入ったわ。

 下半身が千切れて、何が起こったんだ? って、きょとんとした顔の男性の姿が。

 

 シートは血だらけで、私も血だらけで。

 隣に座っていた人は、楽しいのです。おかしいのです。怖いのです。楽しいのです。おかしいのです。怖いのです。面白いのです。楽しいですか? って、そんな感じの言葉をずうっっと呟き続けていた。


 死亡したのは、下半身喪失した男性。

 それから、落下したうちの三人。

 一人は頭部破裂で即死だったらしいけど、後の二人はかなり悲惨だったみたい。

 死亡確定したのは、何日も、何十日も経ってからだったらしいから。


 その日は、本来休園日でね?

 スタッフとその家族ぐらいしかいなかったから、事件は表沙汰になるはずじゃなかったの。

 テレビ報道までされる事件になったのは、被害者の家族にまっとうな人がいて、密告したんだと思うわ。

 だって、警察が入ったの、三日後だったもの。

 

 事故の次の日と、その次の日。

 遊園地は開園していた。

 さすがに、ジェットコースターは調整中にしてあったけどね。


 事故の後、父は嬉しそうにデータを整理していたわ。

 今度は、事故が起こらないデータも欲しいなって、言っていたから。

 やっぱり最初から事故は計画されていたのよ。

 実の娘である、私を乗せた上で。


 私も、何回も、何十回も、何百回も、何千回も、何万回も、事故の話を強要されたわ。

 警察に、じゃないわ。

 父親に、よ。

 警察の尋問はなかったわね。

 たぶん、他の被害者もなかったと思うわ。


 被害者にインタビューしたんでしょう?

 おかしいと、思わなかった?

 これで、生きているって言えるの? って。

 そう感じたでしょう?

 死んだ方がマシだったって、思うわよねぇ。

 特に周囲の人間は。


 皆、事件のせいで痴呆が絶望的に進んでしまったから、辻褄の合わない話ばかりだったはずよ。

 貴女にした話は、全部。

 痴呆が悪化した時に語られる妄想だったの。

 真実の欠片が、もしかしたら僅かに含まれているかもしれない。

 でもね。

 事実ではないから、全員言っている事が違うのよ。

 当たり前じゃない。


 そうそう、最後にね。

 私。

 父に、若年性痴呆症って、言われているの。

 老人性痴呆症の権威と言われる父に。


 ね?

 ……後味、悪かったでしょう?



 ざまぁがない!

 書き上げて衝撃を受けました。

 

 誰が、何処まで、正常なのか。

 

 を突き詰めて頂けると、後味の悪さが倍増になるかと思います。

 

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