実家訪問
今朝、早く起こされてお出かけなう。
目の前にはレンガ造りの大きな建物…いや、商会。
隣にはコロッケが入ったバスケットを持ったウォルフ。
「気を使うような人達じゃないから大丈夫だよ」とニコニコ笑っている。
結婚したい相手の実家訪問って心の準備とか、物理的な準備とか。
おしゃれなTOPSのチョコケーキなんかを持っていくものじゃないの?
あんな高カロリーな物喜ばれるかは知らんがな!
コロッケもかなり高カロリーだけどな!
白目になる私の手を引っ張って、ウォルフが建物の中に入っていく。
「ただいまあ~、イザベルを連れて来たよ~」
確かに、昼から夜は店があるから忙しいと言った。
ウォルフの実家の朝ごはん、団欒の場にお邪魔する事になったのです。
「この子がウォルフの嫁になる娘か?」
「イザベルさん、可愛らしい子ねえ。結婚式はいつ頃になるの?」
「兄ちゃん、この丸いの食べていいの?これうまい!」
あまりの緊張で、何があったのかよく覚えていない。
ウォルフが5人兄弟の3番目という事。
ウォルフの家族は、朝からパワフルな事。
朝からコロッケ食べて、胃もたれする様子もない人たち。
結婚式ですか?どんどん外堀を埋められてる!
ウォルフの実家があんなにでかいなんて聞いてない!
そうか王宮に納品するぐらいだから、そりゃ大きいよね。
「コロッケ喜んでくれたね。商会は朝が早いからね。みんな一働きした後なんだ。」
とウォルフがいう。
「ウォルフ、私にも心の準備が必要なんだけど」と一応抗議する。
「そういう君だって、急に家族に紹介したじゃないか」
確かに、アレクの時はそうでした。
「確かに。ウォルフ、私、実家から勘当されてるって言ったっけ」
「その事だけどね、今日アレクがシビレをきらした両親を連れてくるって言ってたよ」
「何?それ?聞いてない!!」
「今度は僕が緊張する番だと思ってたけど、その調子だと僕ばかりじゃなさそうだね」
ウォルフが更に目を細めて笑った。




