スカウトされました
籠に切り分けたバケット、コロッケ、カレーパンを詰める。
ウォルフさんに持ってもらいリンさんの農場へ向かう。
「温泉開発が終われば、宿場街の客も住宅街の住人もこの店の前を通って温泉に向かう。ここが新たな拠点になる」ウォルフさんが話す。
通過点か。昼に喫茶でもやってみようか。
夏場ならわらびもちや冷たい物系?
夏場の寒天やトコロテンを喫茶で出すのも素敵だなあ。
リンさんの農場にみんなで集まって昼ごはん。
ロバートがカレーパンとコロッケを美味しそうに交互に食べている。
ヨハネスさんはバケットを主食、カレーパンをおかずに食べている。
リンさんは「懐かしいわ」と言いながら海老コロッケを食べている。
「本当にうまい。持って帰りたい…イザベルさんを連れて帰れば全部作って貰えるのか」とウォルフさん。
悪役令嬢改め、ジャガイモマッシュ職人からの、専属ジャガイモ料理人?
「まさかのジャガイモ料理?…でも悪く無いかも」と呟くとウォルフさんの目が細くなる。
お店の経営なんてやってるけど、前世は社畜だ。雇って貰えるなら楽だ。
ジャガイモ料理人、ひたすらジャガイモマッシュするマッシュ職人…悪くない。
「連れて帰って、いくらで雇ってくれます?」
「基本実費かな、衣食住の保障はする」
「住み込みで衣食住保障、それだけ?お小遣いとか将来に向けての貯蓄は」
「将来って」
「老後の生活保障です」
「そこは一緒に頑張りましょう」
「まさかの終身雇用?」
安定した20世紀後半の日本ならともかく、今の時代に安定した終身雇用を約束するなんてウォルフさん、豪快な人だ。
ウォルフさんはニッコリ笑っている。
バケットにコロッケを挟んで食べていたロバートがあきれ顔で私達をみていた。
昼食後、店に戻る。ウォルフさんは温泉の手伝いで残った。
買い出しの時間にウォルフさんが帰ってきたので、好意に甘えて手伝って貰う。
今夜はタラとジャガイモの白ワイン煮と、コロッケ。
買い出しの後、ウォルフさんは用事があると出かけていった。
夜、ロバート、ヨハネスさん、ウォルフさん、ルークさんで話が進み、次の日から工事に携わる人数が増えた。
港の空いている要員、待機中の船員さんが工事に入るようになったのだ。
これで工事も一気に進む。




