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夕食屋  作者: プリン
20/32

ジャガイモ料理人

オリビアさんに手紙を書いた。中身は王太子宛だけど。

「末永くお幸せに。可愛い妹はチョコレートをご所望よ」と日本語で書いた。


朝から買い出しに行っていたロバートとクリスが帰ってきた。

可愛い弟アレクからの手紙が届いていた。


王太子が王都を出奔、愛人の家に入り浸っている。

悲しんだカンナさん(王太子の婚約者)が倒れた。世間の同情は彼女側に向いている。

皇帝がカンナさんに付きっ切りで介抱をしている。

皇帝とカンナさんの仲を応援する声が高まっているらしい。


ヒロインが病に倒れるイベントを無事消化しました。

このまま皇帝がヒロインを連れて帰ってくれれば、私にとっての脅威は消える。


「この調子だと、王都に戻る日も遠く無さそう」と呟く。

「そのことなんだけどね。実は…」とクリスが言い辛そうな顔をする。

「俺とクリスはこの町に残るつもりだ」とロバートが続ける。

「ロバート、仕事はどうするのよ」

「この地方の騎士団に転籍する。地方は良いぞ。のびのびと子育てが出来る」

「家の手伝いで潮干狩りしている子供たちを見て、そういう事を言う?」

「楽しそうじゃないか。幼いうちから楽しみながら自然に関わり家族や地域に貢献し成長が出来る」

まっすぐなロバートらしい思考だ。


王都を出た時は、みんなでもう一度王都に帰ると思っていた。

この港町で新鮮な魚を料理する日々も素敵だけど、私はやっぱり王都に帰りたい。


ロバートが温泉の手伝いに出かけ、クリスは店でパンを売っている。

キッチンでカレーパンと、昨日下ごしらえをしていたコロッケを揚げる。

今日はエビコロッケだけど、タラにしても美味しそうだなあ。


コロッケを揚げているとウォルフさんがやってきた。

揚げたてのコロッケを一つだけあげる。

「美味い。昨日のチーズ焼きも美味かったが、こういう食べ方も良いな」

ウォルフさんはジャガイモ料理がお好きなようだ。

今度はシンプルにフライドポテトとか、カリカリに揚げたポテトチップスを出してみようかな。

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