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夕食屋  作者: プリン
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平民になりました

ストーブの火は入れた。焼きたてパンもスープも食べごろである。メインのハンバーグの下ごしらえもOK。ハンバーグの中にはチーズを入れてみた。

「こんばんは、今日は何出してるの?」今日のお客様第1号は可愛い新人文官さんだ。「今日はハンバーグですよ。」

夕食屋を始めて半年になる。メニューは一日一種類で日替わり。5人までしか入らない小さなお店。お酒は出さない。王宮で働く文官や近所の商売人が晩御飯を食べにくるお店。

「残りのハンバーグは1人分。8時過ぎた。もうお客様も来ないはず。食べちゃおう!」閉店作業に取り掛かったところで、ドアがあいた。

「姉さん」

最後のハンバーグを食べながら「姉さんに似ている人がいるって聞いて、でもまさかこんな所で働いてるとか。てか料理ができたんだ」と弟がぼやいている。

「うーん、家を追い出された立場だからねえ。貰った手切れ金も限りはあるし。働かないと生きていけないでしょ(笑)」

「てか、なんでそんなに言葉が砕けてるの。今までと全然違うでしょ」

「平民だから」

半年前まで私は侯爵家の娘で、この国の王太子の婚約者だった。で、真実の愛というものに負けた。要は王太子の恋人に蹴落とされて婚約破棄になった。それで実家と縁を切り平民として生きる事にした。婚約破棄の仕方が悪くスキャンダルになってしまったので国内の貴族との結婚は難しい、王妃教育があだになり他国に嫁ぐ事も出来ない。なにより私は自由が欲しかった。子供のころから時間刻みのスケジュール、勉強漬けの日々だったのだ。

「姉さん、俺の事を怒ってる?」

「全く怒ってないといえば嘘になる。でも終わった事だし、今はどうでもいい。ところで父さんと母さんは元気なの」

「うん、元気。てか殴られた。」

「ふうん」

「・・・」

「さあ、お話は終わり。食べたら帰りなさいよ。明日も学校でしょ」

「うん」

弟は素直に帰っていった。もちろんお代は請求しました。元身内にも甘くしません。

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