再会
ストーブが入った暖かい部屋でほっと息をつく。
今夜のメニューは、白身魚と海老のフリッター・タルタルソース添えと唐辛子とミョウガが入った魚のアラのスープでございます。
「今日、王都から来たお客さんに気になる話を聞いたの」
「隣国の皇帝と王太子殿下の婚約者の話じゃない?」
「私も聞いたわ。王都で仲良く逢引していたんですって?」
「美貌の皇帝と可憐な乙女、とてもお似合いだったのでしょう」
「でも、やっている事は、50年前の尻軽ローラと同じよね」
「噂話にするには面白いけど、友達にはしたくないタイプね」
目の前では宿屋街で働くお姉さま方の清く正しい井戸端会議が繰り広げられています。
王都の噂がここまで届いているようです。
「ところで二人の仲を知ってショックを受けた王太子殿下が、旅に出た話は聞いた?」
「え?そんな暇があるなら仕事しなさいよ!」
殿下が旅に出た?傷心旅行ですか?そんな繊細な性格してないはずなのですが。
宿屋街で働く人が帰り、店じまいを考えた時に新たなお客さんがやってきました。
「こんばんは、今夜のご飯はなんだい?」
「白身魚と海老のフリッターとスープでございます。あなたは…」
「今日も美味そうだ。」と先日の商人さんがニッコリ笑っていた。
「美味い!揚げ物が上手い女性は良い嫁さんになれるよ」
美味しく頂いてもらって光栄です。口も上手いようですけど。
「どういたしまして。商人さん、先日は香草の情報ありがとうございました」
口直しのミントティーを出す。
「商人さんか。俺の名前はウォルフガングというウォルフと呼んでくれ」
「ウォルフさんですね。私の事はイザベルと呼んでください」
「君がイザベル嬢なのか、実は手紙を預かっている」と急に真面目な顔になり手紙を取り出した。
王太子からものだという手紙を確認する。中身は日本語で書かれていた。
「妹よ、美咲が怒っている。助けてくれ。助けてくれたら、美咲の居場所を知っていたのに教えてくれなかった件については許してやる」
自分の力で何とかしなさいよ!と叫びたい。
「王太子殿下はオリビアさんの宿にいるのですね」
「ああ、3日前はオリビアさんの宿に泊まっていた」
「ウォルフさん、何があったか全部教えていただけますか」
とニッコリ笑ってミントティーのお代わりをついだ。




