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夕食屋  作者: プリン
16/32

アーモンドの花

「花見に行きたい!」とロバートが言い出した。

リンさんの農場の先、丘を上がっていくとアーモンドの並木があるらしい。

お昼ご飯を籠に詰めて、3人でお出かけ。


丘を登る途中からアーモンド並木が広がる。

桜の花に似た満開の白い花が、海の青によく映える。

「アーモンドの実を砕いて、魚にのせて焼いたら美味しい。」

「ケーキやクッキーに入れてもいいわね」

アーモンドの利用法を考えながら歩く私とクリス。

花より団子である。


丘の上でお弁当を広げる。

タラのから揚げとタルタルソースを、カラシマヨネーズを塗ったパンにはさんだ物。

ジャガイモの薄切りをカリカリに揚げて、パセリと塩を振りかけた物。

フィッシュバーガーにポテトチップスである。

ロバートに火を起こしてもらい、錫の鍋で湯を沸かしミントティーを入れる。


満開の白い花、風に乗ってひらひら舞う花びら

アーモンドの花って桜に似ている。桜餅食べたいな~と思いにふける。


ロバートが動いた。真面目な顔をしてクリスの前に立つ。

ひざまずき、クリスの手を軽く握り、話しかける。

普段はクールなクリスが赤い顔をして、うなずいた。


プロポーズ!リア充め!けしからん!祝ってやる!!


ロバートが訴えるかのような視線を投げる。

はいはい、しばらく見ないであげますよ~、聞かないであげますよ


「あーあーあー」

「アーモンドの花が綺麗だな~」

「桜餅食べたいな~」

「アーモンドチョコ食べたいな~」


海に向かって叫ぶ。何も聞こえませーん。

3回繰り返したところで、クリスに「もういいから」と止められた。


帰りにリンさんの農場に寄る。温泉で汗を流す。

「クリスとロバートが?メデタイ!お祝いしなきゃ」とリンさん

「祝い事には餅!もち米は無いわよね。ジャガイモ餅?せめて片栗粉が」と言うと

「片栗粉ならあるわよ」とリンさんが出してくれた。

リンさん!神!


お祝い事。贅沢にいきたい。

リンさんに手伝って貰い、お祝いの準備をする。

市場であったルークさん達に、お祝いの件を伝える。


市場で尾頭付きの鯛を買う。

鱗、内臓をとって塩を塗って下処理をした鯛を、泡立てて塩を混ぜた卵白で包む。

卵白に魚の絵を書いて、イメージは魔女の宅急便のお魚。

オーブンで焼き上げる。


ジャガイモ餅を作る。

茹でたジャガイモを熱いうちに潰して、片栗粉と少量のミルクを混ぜる。

一口大の大きさに分けて丸め、フライパンで焼く。

プレーンとビーツを加えた赤い餅を準備した。紅白餅だ。


ビーツとジャガイモでスープを作る。生クリームものせる。


紅白餅を食べたクリスが「不思議な食感だけど美味しい」と喜んでくれた。

ルークさん達がお酒をもってお祝いにきてくれた。

お祝いなので少し頂いて機嫌よく飲んでいたらふらふらして、布団に放り込まれた。

ルークさん達が手際よく片付けている物音が聞こえる。


布団の中で、これからの事を考える。

いつかはこうなるだろうとわかっていたけど、実際にその日が来るまでは何も考えていなかった。

いずれはクリスがここを出ていって、ロバートと一緒に住む事になるだろう。

1人で生活するのは寂しい、心細い、不安だと真剣に考えかけたんだけど、

今日の疲れと、お酒も手伝ってすぐに眠り込んでしまった。


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