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夕食屋  作者: プリン
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不穏な噂

東方からの船が帰ってきた。港町には商人や船乗りが集まり賑やかになった。


「爺さん、元気だったか!…あれ?」

若い男性が勢いよく入ってきて、戸惑い顔になる。気まずい…

「いらっしゃいませ。夕食屋へようこそ」

「これは失礼した…ここは何の店?飲み屋?パン屋?」

「パンの販売と日替わりの食事を出しています。今夜はムニエルとポテトサラダですよ」

「…空腹だ。食事を頼む」

男性が笑顔になり、空気がふわりと緩む。

「かしこまりました」


下ごしらえをした魚を焼いて、ポテトサラダと一緒に皿に盛りつける。

オーブンで温めたパンと魚のアラスープを添える。

「きちんとした食事は久しぶりだな。うまい。特にこのポテトサラダが最高だ」

と男性が気持ちよく平らげていく。


「ただいま、ベル。弟さんから手紙が来たわよ」

買い出しに行ったロバートとクリスが帰ってきた。

クリスは明日の下ごしらえにキッチンへ、ロバートは手紙を読むために2階に上がる。


口直しに出したレモン水を飲みながら男性と世間話をする。

東方から仕入れた荷物が船で届いた為、取りに来た商人さんらしい。

若い頃に東方に行く船に乗り…その時の伝手を使って商品を仕入れ、主に王都で販売していると。

「今回は王太子の婚礼用の布を仕入れたんだ」と男性が荷物の中から大事そうに出した包みには、生成りの光沢のある布が入っていた。

東方の練り絹…汚したら怖いのでさっさとしまってもらった。


「女の子はこういうものに興味があると思ったんだけどなあ」と商人さん。

「綺麗な物は勿論好きですが、練り絹なんて高い物はむしろ怖い!」

「ところでお金の事を考えないで買えるとしたら何が欲しい?」

「醤油や香草が欲しいです。」

「ショウユ…聞いたことがあるかもしれない。調べてみよう。あとは香草か…

海沿いをしばらく歩いた場所に珍しい草を栽培している東洋人の婦人がいる。」

「この町に住んでいるんですか?ありがとう、近いうちに行ってみます」

「君の求めている香草だと良いね」と商人さんがニッコリ笑う。


商人さんは明日から早速王都に向かうらしい。温泉宿の情報を教えた。

移動中の食事にとバケット3本お買い上げ。ポテトサラダも欲しいとしつこく言われたので、賞味期限を念押しして特製サンドイッチを作ってあげたら帰っていった。


商人さんと入れ替わるように、宿屋街と飲み屋街で働く人たちが店に入ってきて、忙しく一日を終えた後、2階に上がるとクリスとロバートが渋い顔をしていた。

「アレクからの手紙に、王都内の最新ゴシップが書かれていた」


手紙を確認すると、次のような事が書かれていた。

・皇帝と王太子の婚約者さんが恋仲という噂が広がっている。

・王都の中をデートする2人を何人もの人が目撃している。

・2人は夕食屋を探していたらしい。


「リザさんが言ったシナリオ通りの事が起きているのね」と呟くと、2人がうなずいた。

「この先何があるか読めない。王都の情勢には注意しておこう」とロバート。

「さっきの商人さんが…」

「どうしたの」とクリスが聞く。

「結婚式の衣装に使う布を納める為に王都に行くって言ってた」

「行くだけムダになるかもしれんな」とロバート

「せめて名前を聞いてれば捜せたのに…」

「商人なら駄目な時の事も当然計算済みだろう。心配するな」とロバートが静かに言う。

「婚礼関係で王都入りか、トラブルに巻き込まれない事を祈りましょう」とクリス。

王都に行った商人が違う意味でトラブルに巻き込まれる事を、その時の私はまだ知らない。


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