港町マルセオ
6日間の駅馬車の旅ももうすぐ終わり。次は港町マルセオ。
「海が見える。あ、船だ」
「小さい船だけだな。一週間後に大きな船が東方から帰ってくる。見に来ると良いよ」
「その時には港町に商人が集まるから賑やかになるぞ」とリシアダから同乗した商人が教えてくれた。
「風が強いわ。この季節だと寒いわね」
「着いたら、暗くなる前に宿を探そう」
「まず食事にしない?新鮮な魚が食べたいわね」
「市場の近くの飲み屋街なら、うまいものが食えるぞ。酔っ払いには気をつけてな」
市場で屋台を見つけて入る。お客さんはこの辺の漁師や船乗りだろう。早い時間帯だが飲んでいる。
「可愛いお客さんね。お酒は?」と給仕のお姉さんがロバートに話しかける。
「お酒はいらない。食事を。」
「パンと魚のスープで良い?」
「それを頼む。あと宿を探しているのだがどこか知らないか?」
「他のお客さんと雑魚寝で良ければ裏の小屋だけど、女の子がいるものね。店長に聞いてみるわ」
「ありがとう」
食事が運ばれてくる。パンと魚がたっぷり入ったスープと水。
食べながら今後の事を話していく。
「王都を出て6日ね、これからどうする?」
「マルセロで夕食屋を開く」
「ここは港町だ。特に大きな船が入った時期は荒っぽい奴らも増える。危険だ」
「頼りになる護衛がいるでしょ。ロバート」
「悪くはないけど、場所を探してオーブンやコンロを整えるのに数週間かかるわ」
「お店なら、すぐ使える物件があるよ」
「「「え?」」」
振り返ると、給仕のお姉さんとエプロン姿の男性が立っていた。




