文化祭 前半
ハァ……
昨日のことを思い出し、深いため息とまじってセブンスターのいつもの匂いが窓辺に漂う。
いつものタバコが苦く感じた。
…………
学校に近づくにつれて生徒の数も増えてくる。
みんなの話し声が耳に響く…
カナタ「っよ!」
シン「おっす!」
ユウヤ「おぅ」
2人もどこか元気がないように見える。
それもそうか……
あれから美哉に会ってないし連絡もとってない。
仲の良かったイツメンにヒビをいれたのは俺だ…
「みんな席に着けー!
今日から文化祭だからって浮かれるなよー」
太田っちが教室にはいってくる。
「文化祭を2年連続でサボった馬鹿共がいるから 昼休みと帰りにも出欠確認するからなー!」
カナタ「え〜…」
「お前らのことだぞ!!!」
カナタ「へーい…」
「今日は親御さんも他校の生徒もたくさんくるから
浮かれすぎてハメを外さないように!
絶対喧嘩なんかすんなよ!
特にお前ら!
それじゃぁ 体育館で開会式やるからみんな移動しろー」
こうして 高校生活最後の文化祭がはじまった。
カナタ「いやー帰りたかったのにー…
いっつも俺らばっか標的じゃん!」
シン「まぁしょうがないな。
最後なんだしちゃんといろってことだろ!」
カナタ「えーめんどくさ〜い…
…………ちょ!裕也!心!
おばけやしきだって!
はいろーぜ!!」
ユウヤ「テンションあがってんじゃん!」
朝のぎこちなさはなくなっていた。
そのまま一通り校内を周り終わる。
カナタ「いやー文化祭って楽しいし美味しいし、最高だな!!」
シン「………単純」
カナタ「どーせいるなら楽しまなきゃ損だろー!
裕也も心も楽しくないのかよ!!」
ユウヤ「はいはい!楽しんでるから!」
シン「…そういえば裕也、 美哉に連絡とったか?」
ユウヤ「……いや
取ってない…」
シン「一言謝っとけ。
美哉がしてることも最低だが、手出すのはさすがにな。」
ユウヤ「うん…わかってる。
帰ったら連絡してみるよ!」
カナタ「裕也も心も歩くのおせーぞ!!!!
はやくはやく!!
もっかいおばけやしき!!!」
シン「フっ…相変わらずガキだな。」
ユウヤ「おい奏太!心が笑ったぞ!」
カナタ「まじで??
でも今はどーでもいいよそんなこと!
おっばけやしきー♪
おっばけやしきー♪」
ユウヤ「わかったって(笑)!!
走んなくてもお化け屋敷はなくなんねーから!」
カナタ「っお!!!紗夜!」
お化け屋敷につくと正面から紗夜が歩いてきた。
カナタ「紗夜1人か?
なんだったら俺らとまわろーぜ!」
シン「だな、その方が楽だろ。」
サヤ「っあ、うん。
いい?
みんないろいろごめんね。」
カナタ「気にすんなってー!
美哉がだらしないんだよ!
とりあえずおばけやしきはいってその後もう一周回ろう!」
紗夜も合流してもう一周まわることになった。
ユウヤ「紗夜 昨日ごめんな!
勢いあまってっていうか…
あんま気にしないで!」
サヤ「うぅん
私の方こそ…
でもありがとね!」
カナタ「ふぁんかあっぱのか??」
チョコバナナを頬張りながら首を傾げる奏太。
ユウヤ サヤ「こっちの話!(笑)」
シン「食いながら喋んな。」
カナタ「へーもうはいってませんー」
シン「バナナ食って喜ぶとか猿みてーだな。」
カナタ「ウキー♪ウキー♪」
こうして1日目の文化祭が終了した。
カナタ「いやー
もぅ毎日文化祭やろうぜ!
明日だけと言わずさ!」
ユウヤ「たまにやるから面白いんだよ!こういうのは!
ほら帰るぞ!」
シン「紗夜も一緒に帰んないかな?
呼びに行こう。」
カナタ「おーそうだな!」
階段を上がり紗夜の教室に向かう。
カナタ「まだ終わってないじゃん!
ッゲ!紗夜のとこの担任、長内かよ!
話長いじゃん。」
長内は去年の担任だ。
確かに話が長い…
他のクラスの人たちが廊下に出てくる。
カナタ「っお!なんかめっちゃ見られてる!
俺らって有名人?」
シン「ただ、上級生がなんで? ってだけだろ」
そうこうしていると紗夜達のクラスも終わった。
ユリカ「っあ!奏太達じゃん!
何してんの?」
そうだ…優里香もいるんだ…
ユウヤ「下行って待ってた方がいいんじゃない?」
シン「そうだな。」
結局、玄関で待つことになりその場を収め一階に下りる。
しばらくすると紗夜が走ってきた。
サヤ「ちょっと…
さっき教室のとこにいたでしょ!
ビックリしたんだけど!!」
カナタ「紗夜を迎えに行こうって話になってさ!
一緒に帰ろうぜ!」
カナタ「健太の家行く気分でもないしなー
ゆっくり帰るか!」
シン「そーだな。」
そのままみんな自転車を押して歩き出す。
……
サヤ「じゃぁ私あっちだから!」
ユウヤ「じゃーな!」
カナタ「まったなー!」
シン「おぅ」
紗夜と先に別れ俺らも家に向かう。
シン「今、美哉とどーなってるんだろうな…」
ユウヤ「さーな…」
カナタ「そんなこと俺らが考えても仕方ないよ!
なるようになる!」
シン「そーだな。」
…じゃぁまた明日な。
そう言ってそれぞれ家の方向に向かう。
太陽も沈み、すっかりあたりは夜になってた。
自分の部屋にはいると携帯を取り出す。
よし…美哉にラインするか。
[[こないだはごめん。
カッとなって…
手だしたのは俺が悪かった]]
ポキポキ♪
[あぁ 俺こそわるかったな
にしても相変わらずよぇーな!]
[[うるせーよ!
喧嘩して退学になったやつとはちげぇんだよ!]]
いつも通りのラインにホッとした。
[そんな2年前のこと持ち出すな!
あれは先輩が悪りぃ!
あー そういえば
俺、紗夜と別れたから]
[[っえ?]]
[てか昨日の夜振られた!
まぁしゃーねーよな]
[[そっか…]]
そぅ一言だけ返すと
美哉ラインに変な期待を抱いた自分に嫌気がさした。




