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鬼っ娘温泉へようこそっ! ~ 高校生若ダンナとオニヨメ候補たちがナンバーワンへ成り上がります!  作者: Swind/神凪唐州
第二章 ユウマ、鬼っ娘たちと宿の営業を準備する

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10 令嬢委員長が名乗りを上げます

(お詫びとお知らせ)

前話に登場いたしました学級委員長の女の子の名前について、主人公の名前とあまりにも重複していたため変更いたしました。申し訳ございませんでした。


「え? ホントに? ちょ、マジで?」


 イマリ(委員長)がうろたえながら声をかけてくる。

 ほら、また化け猫の皮がはがれかけてるぞー。

 

「マジマジ。 うちのバカオヤジにやられたわ。 朝起きたら見事にSOLD OUTって札が貼ってあったわ。いやー、人生何が起こるか分からんね!」


「本当に本当なのですね!?  いったい買い手はどなたなのです?」


 が執拗に食いついてくるイマリ。


 しかし、ある程度は自分から話そうとは思っているものの、コイツのバックを考えるとあんまり深いところまで話したくはないんだよなぁ。

 さて、どうやってお茶を濁そうか……、と俺が思案していると、横から凶暴娘(ユモト)のヤツが口を挟み始めた。


「何よアンタ! さっきから突然やってきてはギャーギャーうるさいわね! それに、ここがボロ宿ですって!?まぁ、これまでこっちのボケナス変態がやってた頃は大したことなかったのかもしれないけれど、私たちがピッカピカの見事な旅館にするんだから、失礼なことを言わないでよね!」


 ……ちょっと待て。さりげなく俺のことディスってないか?

 しかし、ヤバい。これはヤバい。

 イマリのヤツをこんな風にけしかけたら……。


「あらぁ、なんか変なのが湧いてますわね? さてはアナタ、買収先から派遣された新人社員さんってところかしら。でも、残念。ここを立て直す気かもしれませんけど、この宿はもう長年にわたって寂れていますの。早く諦めて、無理でしたって上の人たちに報告なさい」


 あー、やっぱりだ。俺は思わず頭を抱えた。

 しかし、そんな俺の様子には構うことなく、ユモトがさらに噛みつく。


「うっさいわねぇ、学級委員長だか何だかしらないけど、アンタなんかに何がわかるってのよ! 」


「ハッ、旅館業界で働いていらっしゃるのに、私のことをご存じない? 本気で仰ってまして?」


「知らないわよ! そもそも、私はここの従業員じゃないんだから!」


「あら、業界の方ではございませんでしたの。そう、それは失礼しましたわ。洲本(スモト)、このモノを知らないお嬢さんに私のことを教えてやりなさい」


「はっ、かしこまりましたっ!」

 

 イマリが声をかけると、横に立っていた黒服の男たちが一斉に動き出した。

 イマリを中心に両サイドに一人ずつ黒服の男が並び、その後ろにも黒服の男たちが片膝をついて頭を下げる。


 その異様な光景に、さしものユモトもやや引き気味だ。

 アワラやミササも成り行きを黙ってみている。

 いつの間にか俺の背後に回っていたシマッちは、俺の服の裾をしっかりとつかんで身を隠していた。

 一応シマッちは事情を知っているはずだが、それでも慣れないんだろうなぁ。


 走行考えているうちにフォーメーションが整ったらしく、イマリの右側に立った黒服の男が胸の内ポケットから何やら取り出しながら言葉を発し始めた。


「こちらに負わすのは、『月夜グループ』が一人娘にして、若干17歳ながらグループ筆頭格である高級旅館『青月楼(せいげつろう)』のオーナー代理を務める観海寺(かんかいじ)伊万里いまりお嬢様ですぞ! あ、こちら名刺になりますー」


 って、印籠じゃなくて名刺かいっ!

 うっかりつられて、ははーっ!ってやるところだったじゃないか!

 いや、名刺じゃなかったら即死だったぜ……。


 それはともかく、やたらめんどくs……気合の入った自己紹介を受けて、ユモトもミササも口をパクパクして固まってしまっていた。

 まぁ、現実にこんなことされたら意味不明だろうなぁ。

 

 しかし、アワラさんだけは落ち着いていた。

 黒服の男から差し出された名刺を受取りながら声をかける。


「『月夜グループ』の『青月楼』といえば、何年も先まで予約で埋まっているという大変な評判のお宿と聞いておりますわ。 そのオーナー代理ということは実質的な責任者ということですわよね? それをユウマさんと同級生の方が務めていらっしゃるとは存じませんでしたわ。不勉強で失礼いたしました」


 へぇ、さすがはアワラさん、青月楼のこと知ってるんだ。

 そういえば、前に社長秘書の仕事をやってたって言ってたから、その関係かな?

 俺が成り行きを黙ってみていると、イマリがとても満足げに笑みを浮かべながらアワラに語りかけた。


「お見知りおきいただいていまして恐縮ですわ。貴女もこちらの関係者かしら?」


「ええ……。ユウマさん、お話してもよろしいかしら?」


 イマリの質問にどこまでこたえてよいか、アワラが俺に視線を送って確認を求めてくる。

 うーん、あんまり良くは無いんだけど、まぁ仕方が無いよなぁ。


「ええと、じゃあ俺から話しますね。ええっと、この三人はこの宿の新しいオーナー、つまりオヤジが売った相手の身内の方々なんだ。で、俺とこの三人、あと、ちょうど今俺の後ろにへばりついているシマッちにも手伝ってもらって、この宿をもう一度やりなおそうって話になってるんよ」


 まぁ、鬼がどうだかということは言わなくてもいいだろ。というか、信じちゃもらえないだろうしな。


「そうなのですわねぇ。そうですか、あなた方がこの宿を……」


 イマリはしげしげと呟きながら、まるで値踏みするように三姉妹へと視線を送る。

 上から目線ってのはこういうのを言うんだろうなぁ……。


 そして、そんな失礼な態度に、ユモトが反応しないわけがない。


「なによ! 何か文句でもあるわけ?」


「いえいえ、随分と旅館の経営というものを舐めていらっしゃる様子だなぁって」


「なんですって!!」「それは失礼なのですっ! 物事には言い方というものがあるのですっ!」


 しかし、イマリは二人の苦情も鼻先でかるくあしらう。


「だって、そんなへんてこな頭飾りをつけて宿の仕事をしようだなんて、チャンチャラおかしいですわよ。それとも、男性客を集めるためにコスプレ旅館にでもするつもりかしら?」


「なんですってーーーっ!!このツノをばkふごふごふご」

「わーーーーっ!きこえないきこえないなにもいってなーいっ!」


 やっべぇ! ここで正体バレしてさらに話がややこしくなるとか勘弁してくれ!

 後ろからユモトにしがみついた俺は、必死に口元を抑えるのであった。


(お知らせ)

『まろでぃの徒然なる雑記(小説レビュー系ブログ)』( http://maro0.blog95.fc2.com/blog-entry-599.html )にて本作をご紹介頂きました!


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