プロローグ
地元駅の隣の隣駅、改札口を出たところで、わたしは 友達を待っていた。
わたしは どこにでもいる普通の会社員 片倉朋子 26才。
「朋子~!待った?」
向こうから友達が手を振りながら歩いてきた。
「ううん~、わたし達も来たばっかりだから」
隠せない退屈な気持ちを作った顔でかくしながら 『嘘だけど。10分は待ったかな』心で呟いた。
改札から急ぐわけもなく、のんびり出てきた友達を「やれやれ」とはいえず、なおも作った笑顔で出迎えた。
わたし、何…やってるんだろ…
今日は、というか 今日も高校からの友達、ミナミとアカネの三人で遊ぶ約束になって。
ミナミの遅刻癖は相変わらず。
「最初、ご飯しよー??アカネ、おなか空いたなあ」
え?これから映画見るんじゃなかったっけ?アカネの自由っぷりも直ってくれない。
これから始まるんだろうな…高校時代からの友達OL三人の日曜日が。
話題の映画見て、オシャレな街で、オチャして買い物して。女子会ディナーして。
でも、実は そんな生活、このごろもう飽きてきたんだよね…
いつもと同じメンバーといつもと同じ会話…友達にこれといった不満はないけど、新しい刺激もない。
こんなこと思うなんて、ちょっとワガママかもしれない。でも、そんなことを間違いなく感じ始めた。
今更、素敵な王子様みたいな男の人が告白してくるなんて、そんな夢持ってない。でも、恋はしたい。
けど、友達も大事にしたい。このまま一人ぼっちにはなりたくない。
…どうすれば…いいんだろ。
「朋子~?なに食べたい?」
先に歩き始めたアカネが、「置いていくよ」とばかりに声を掛けてきた
「ナンデモイイ…」
取り繕うように返事を返すわたしがいる。
わたしの毎日、これで…いいの?いいわけ、ないよね…
でも、ミナミとアカネの背中には答えはなくて。
今日もまたわたしは 二人を追いかけた