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獣の烙印  作者: 日野枝 弥
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第弐拾四話 食うか、食われるか!?

 グロいッ!! グロテスクすぎますぅッ!! あまりの容姿に、結子は瞳に溢れんばかりの涙をためて絶叫した。


 海中から出現したのは、長屋三軒分はあるデカい図体(ずうたい)をした、妖鬼が二匹。

 緑色をした皮膚は環状のしわがあり、黒とピンクの突起がついたゴマ模様。下方には足なのか吸盤らしきものがついていて、黄色の触手が頭から飛び出していた。

「気持ちワルぅ…妖鬼っていうより、ナメクジみたい」

「姫さん、海にナメクジはいねぇだろ。あれはナマコだ!」

「え〜? だったらウミウシよっ!! 触手があるもの」

「ぜってぇ、ナマコだって!  ウミウシは食えねえからナマコ。ナマコは酢の物とか塩辛にすると旨いんだ」

「イヤ―――っ、絶対に食べたくないっ」

「珍味なのに」

「絶対に食べないからっ」

 左近と結子の話は、いつの間にか、食べるか食べないかという話にすりかわっていた。


 盲目の白蓮は妖鬼の禍々しい気配を感じ取っていたし、左近たちの会話から、その容姿がスゴイらしいということだけはわかった。

「姫殿は絶叫しておるが、左近は食おうとしておる。食うのか? 倒すのか?」

 天壱と万里は困惑して答えた。

「いや……俺は食いたくねぇ」

「す、スゴイですから……あの模様」

「どうスゴイのじゃ?」

「すまねぇ、俺には形容し難い」

「にしても……血の臭いがするのぅ」


 グロい妖鬼の大きな口の中は、無数の触手が枝分かれして、広がったり縮んだりしてネチョネチョと動いている。

 開いた口の周りには、よだれと思われる酸が垂れ流しにされていた。


(気、気が遠くなる……)


 結子はいっその事、気を失いたかった。はっきりいって視界に入れることすら耐えられない。

「神殿を守る番人ってことはねぇよな……?」

「まさか、違うでしょう。もう少しマシな番人を置くはずです」

「斬ってもいいだろ? あんなところにいられちまうと、邪魔だしな」

「でも、天壱。ここは慎重に──」

「行けーっ、夜叉丸っ!」

 万里たちの正面を、左近の仕込み刀が通過していった。

 彼らが間一髪(かんいっぱつ)のところでよけると、切っ先はそのまま妖鬼へと突き刺さる。

 刀を(かえ)すと筒状の胴体が切り裂かれた。

「よっしゃっ、手ごたえアリ!!」

「っんの、ウツケ! あぶねーだろがッ」

 天壱が怒鳴った。切り裂かれた妖鬼の肉片(にくへん)が飛び散り、雨のように降り注ぐ。


「いやあぁぁっ」

「ちっ」

 天壱は結子に素早く着物をかけ、その身体をかばう。

 結子以外は皆、肉片まみれになってしまったが、妖鬼は倒れることなく胴をクネらせていた。

「なんだよ、仕留めたと思ったのに〜」

 左近の視線の先では、斬りつけられたはずの妖鬼が、血飛沫(ちしぶき)をあげながらも徐々に再生しようとしている。

「やだ、天壱!!」

 天壱は結子に着物を羽織らせたので、袴のみとなっていた。

 彼の上半身は素っ裸なのだが、妖鬼の血や肉片が成長してヒルの形態をとり───肌に吸いついていた。

 砂浜に落ちた肉片たちも、ヒルの形をして飛び跳ねている。

「気持ち悪すぎ―――っ!!」

「正体は……ヒルか」

「呑気にしてないでよっ、吸われてる!」

 気持ち悪いのをこらえて、上着ではたき落とそうとするが、吸いついているのでなかなか()がれない。

 天壱は平然(へいぜん)としており、むしろ結子の身体にヒルがついていないかを確認しているようだった。


 うえ〜っ、自分で書いていて鳥肌が…(泣)

海中から出てきた二体の妖鬼の正体は、ヒルでした。

 この様子だとウツケと夜叉丸が活躍するのでしょうか? もうそろそろ剣が手に入りそう(な予感)です。

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