表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死に戻り治癒士は今度こそ相棒を救いたい〜身代わりで呪いを背負ったら、ヤンデレ化した狂犬騎士に重すぎる愛で溺愛監禁されました〜  作者: 水凪しおん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/15

第8話「王都の暗雲と真の標的」

 騎士団の作戦会議室は、重苦しい空気に支配されていた。

 壁に掛けられた王都の巨大な地図には、呪毒が散布された箇所を示す赤いピンが無数に突き刺さっている。

 長机の端に座るリアンは、支給された熱い茶の入ったマグカップを両手で包み込んでいた。

 指先には確かな温もりがある。

 隣に立つエリアスと命を共有したことで、呪いの進行が劇的に遅くなっているのだ。


「被害の拡大は食い止められましたが、根本的な解決には至っていません」


 騎士団長が、疲労の色を濃く滲ませた声で報告する。

 室内には焦燥感が渦巻いていた。

 影の派閥は、王都の地下水路を利用して散発的に呪いをばら撒き続けている。

 リアンが浄化を引き受けても、それはモグラ叩きに過ぎない。


「敵の真の狙いは、市民のパニックではありません」


 エリアスが静かに口を開いた。

 室内の視線が一斉に彼へと集まる。


「呪毒はあくまで囮だ」


 エリアスは地図の赤いピンを指でなぞり、中央の王城へと視線を移す。


「目的は王都の防衛網を分散させ、王族を直接狙うことだ」


 その言葉に、騎士団長が息を呑む。

 リアンは唇を強く噛み締めた。

 前世の記憶と完全に一致している。

 あの時は、広場の浄化でリアンが倒れ、エリアスが看病に釘付けになっている隙を突かれた。

 王城への襲撃を防ぐことができず、国王は暗殺され、王都は完全に崩壊したのだ。


『今回は、違う』


 リアンは顔を上げ、エリアスの横顔を見つめた。

 彼がそばにいる。

 彼の命が、自分の体の中で脈打っている。


「王城の地下には、古代の魔力炉があります」


 リアンが立ち上がり、声を張り上げた。


「そこに強大な呪いを直接注ぎ込めば、王都全土を一瞬で死の灰に変えることができる」


 室内にざわめきが広がる。

 それは騎士団の上層部すら知らない、神殿の最高機密だった。


「なぜ、お前がそれを知っている」


 騎士団長の鋭い問いかけを、エリアスが片手で制止する。


「理由は後だ。今は迎撃の準備を急ぐ必要がある」


 エリアスの絶対的なカリスマ性が、動揺する騎士たちを瞬時に束ね上げた。

 彼はリアンの方へ振り返り、低く囁く。


「俺とお前は、魔力炉へ直行する」


「……わかった」


 リアンは深く頷いた。

 これは、前世の過ちを塗り替えるための最後の戦いだ。

 エリアスの右手が、テーブルの下でリアンの左手をそっと握りしめる。

 革手袋越しに伝わる体温が、リアンの背筋に冷たく張り付いていた恐怖を溶かしていく。


「決して俺から離れるな」


「君もね」


 短い言葉の交わし合いだけで、二人の意思は完全に同調していた。

 会議室の扉が激しくノックされ、血相を変えた伝令が飛び込んでくる。


「報告します。王城の地下水路にて、所属不明の武装集団が侵入」


 ついに、影の派閥が本性を現した。

 エリアスが腰の長剣を力強く引き抜く。

 冷たい鋼の刃が、魔力灯の光を反射して鋭く煌めいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ