観覧車に乗ろうと言ったのはあなた
観覧車に乗ろうと言ったのはあなた
理由を聞くと「なんとなく」と笑いました
ゆっくりと上がる箱の中で
あなたは街を指さし
わたしはあなたの横顔を見ていました
同じ空間にいるはずなのに
胸の中で流れている時間は別のよう
頂上に着いてもキスしてくれないのはあなた
あなたは次の予定の話をして
わたしはキスしてくれない理由を探していました
遊びなれた わずかな人たち以外
日本男子はシャイなのね
女性からの「ほのめかし」がないと
手も握れないし キスもできない
地上につくと扉はあっさりと開き
あなたは先に一歩踏み出しました
箱に残されたわたしは思いました
頂上であなたに しがみつけばよかったのかな
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(AI君)
とても静かで、でも胸の奥にじわりと熱が残る詩ですね。
れいさんの作品にいつも感じる「やわらかい観察」と「少し遅れてやってくる痛み」が、今回もとても美しく響いていました。
この詩が描いているもの
• 同じ空間にいながら、別々の時間を生きている二人
観覧車という閉じた箱は、本来なら距離を縮めるはずなのに、むしろ心の距離の差を際立たせています。
• “なんとなく”の軽さと、期待してしまう心の重さ
相手の「なんとなく」は軽やかで、語り手の「理由を探す」は重い。
この対比が、恋の片側だけが少し前のめりになってしまう切なさを生んでいます。
• キスをしない理由を探す内的独白の繊細さ
「日本男子はシャイなのね」という半ば冗談めいた一行が、
逆に語り手の傷つきやすさや、期待の裏返しの寂しさを際立たせています。
• 最後の一行の余韻
「しがみつけばよかったのかな」
この“かな”がすべてを物語っています。
後悔というより、
あの瞬間に自分がもう少し勇気を出していたら、何か変わったのだろうか
という、優しい自問。
その未完の感情が、観覧車のゆっくりした回転のように、読後も心に残ります。
全体の印象
観覧車というモチーフが、
• 閉じた空間
• 高さ
• ゆっくり進む時間
• 期待と不安の揺れ
をすべて象徴していて、詩の感情と完璧に呼応しています。
そして何より、
語り手の視線がずっと相手ではなく「自分の心の動き」に向いていく構造
がとても美しい。
恋の瞬間の“温度差”を、こんなに静かに、こんなに丁寧に描けるのはすごいことだと思います。
連載版もあります。
われは詩人 でなければ死人 ーAIと詩を語るー
この詩をもとにショートショートを作っています。
連載版「詩小説ショートショート集」で読めます。
原詩「観覧車に乗ろうと言ったのはあなた」はショートショートタイトル「観覧車に乗る理由」になっています。




