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私、悪役令嬢なのに攻略対象に溺愛されています!? 〜乙女ゲーム世界で5人の王子様に囲まれる日々〜  作者: 恋咲ロマンティカ


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【セラフィム・アルテミス ルート】第3話

あの日から私とセラフィムの時間は特別なものになった。

毎日放課後は図書館の音楽室で。

セラフィムと一緒にピアノを弾く。


「……リディアさん、今日は……この曲に挑戦しましょう」


「はい!」


セラフィムが選んでくれる曲はいつも優しくて、美しい。


「……この曲は、『春の目覚め』という曲です」


「春の目覚め……素敵な名前ですね」


「……はい。母が……好きだった曲です」


セラフィムの表情が少しだけ寂しそうになる。


「……母は、この曲を弾きながら……いつも笑っていました」


「……」


「『セラフィム、春は素晴らしいのよ。花が咲いて、鳥が歌って……全てが生まれ変わるの』って」


彼は鍵盤に触れた。


「……でも、僕は……体が弱くて、外で春を感じることができなかった」


「セラフィムさん……」


「だから、母が……ピアノで春を教えてくれたんです」


演奏が始まった。

その音色は本当に、春のようだった。

温かくて、優しくて、希望に満ちていて——


「……綺麗……」


涙が、溢れた。


演奏が終わるとセラフィムが驚いた顔をしていた。


「……リディアさん……?」


「ごめんなさい……感動、しちゃって……」


セラフィムは、ハンカチを差し出してくれた。


「泣かないで、ください……」


「ごめんなさい……でも、本当に素敵で……」


「……ありがとうございます」


セラフィムは少しだけ笑った。


「……リディアさんが、感動してくれて……母も、きっと喜んでいます」


その笑顔は温かかった。


「……リディアさん」


「はい?」


「一緒に、この曲を弾きませんか?」


「え!? でも、私なんて……」


「……大丈夫です。僕が教えます」


セラフィムは私の手を取った。


「一緒に、春を……奏でましょう」


その言葉に頷いた。


「……はい!」


最初は、難しくて何度も間違えた。


「あ……ごめんなさい……!」


「大丈夫です。焦らなくていいですよ」


セラフィムは優しく微笑んだ。


「……音楽は楽しむものです。間違えてもいいんです」


「でも……」


「……リディアさんの音は温かいです。だから……間違えても綺麗なんです」


その言葉に勇気が湧いた。


「もう一度、挑戦します!」


「……はい」


何度も、何度も、練習した。

セラフィムは根気強く教えてくれた。


「……ここは、こうやって……」


彼の手が私の手を導く。


「なるほど……!」


「上手です」 


褒められると嬉しくて。

もっと、頑張ろうと思った。


そして——

ついに。


「リディアさん、もう一度……一緒に、弾きましょう」


「はい!」


二人で鍵盤に向かう。

セラフィムが頷く。

演奏が始まった。


最初は緊張していたけれどセラフィムの音に導かれて、自然と指が動いた。


二人の音が重なる。

一つの音楽になる。


(綺麗……!)


セラフィムと心が通じ合っているような感覚。


演奏が終わる。


「できました……!」


「はい……!」


二人で、顔を見合わせて笑った。


「……リディアさん」


「はい?」


「あなたと弾くと……音楽が、もっと楽しくなります」


セラフィムの笑顔は本当に幸せそうだった。


「……初めてかもしれません」


「え……?」


「こんなに……楽しいと思ったのは」


彼は私の手を握った。


「……ありがとう、ございます」


その手は温かかった。


「……こちらこそありがとうございます」


私も握り返した。


それから私たちは毎日一緒に練習した。

いろんな曲に挑戦して——

二人で音楽を楽しんだ。


「リディアさん、今日は……この曲はどうですか?」


「わあ、これ難しそう……!」


「……でも、きっとできます。一緒に頑張りましょう」


「はい!」


セラフィムといると楽しかった。

彼は、優しくて、穏やかで——

一緒にいると、心が落ち着いた。



ある日。

練習が終わり二人で休憩していた。


「……リディアさん」


「はい?」


「あなたはどうして、毎日……ここに来てくれるんですか?」


その問いに少し驚いた。


「セラフィムさんと、一緒にいるのが楽しいからです」


「……本当に?」


「本当です」


笑顔で答えた。


「セラフィムさんの音楽は素敵だし、一緒に弾くのも楽しいし……」


「……」


「それに……セラフィムさんといると、心が温かくなります」


その言葉にセラフィムの目が、潤んだ。


「……っ」


「セラフィムさん……?」


「嬉しい、です……」


彼は涙を拭いた。


「誰かにそんなこと言われたの、初めてです……」


「……」


「……僕は、ずっと一人でした」


セラフィムは俯いた。


「体が弱くて外で遊べなくて……友達もできなくて……」


「……」


「だから……リディアさんが来てくれて、一緒に音楽を楽しんでくれて……」  


彼は私を見た。


「……本当に、幸せなんです」 


その目は——

純粋で、真っ直ぐで。 


「……ありがとうございます。リディアさん」


「こちらこそ」


私はセラフィムの手を握った。


「私も、セラフィムさんと会えて幸せです」


二人で笑い合った。


でも——

その幸せな時間は長くは続かなかった。



数日後。

図書館へ行くとセラフィムがいなかった。


「……あれ?」


いつもの場所にいない。


(どうしたんだろう……?)


心配になって図書館中を探す。

奥の読書スペースでセラフィムを見つけた。

机に突っ伏して苦しそうに咳をしている。


「セラフィムさん!?」


「……ごほっ……ごほっ……!」


「大丈夫ですか!?」


駆け寄る。

セラフィムの顔が、真っ青だった。


「リディア、さん……?」


「医務室に行きましょう!」


「大丈夫です、いつものことなので……」


「大丈夫じゃないです!」


彼を支えて立ち上がらせた。


「すみません……」


「謝らないでください!」


医務室まで連れて行く。

医務官が深刻な顔をした。


「……また、発作ですね」


「発作……?」 


「ええ。セラフィム様には持病があるんです」


「持病……」


「詳しくは言えませんが……体が弱いんです。無理をすると、こうして倒れてしまう」


医務官はセラフィムをベッドに寝かせた。


「しばらく安静にしていてください」


「はい……」


セラフィムは申し訳なさそうな顔をした。 



医務官が去った後。

私はセラフィムの側に座った。


「リディアさん、もう大丈夫ですから……」


「駄目です。私、ここにいます」


「でも……」


「友達が具合悪いのに放っておけません」


セラフィムは少し驚いたような顔をする。


「友達……」


「はい。私たち友達ですよね?」


「はい……」


彼は小さく微笑んだ。


「ありがとう、ございます……」


そして静かに目を閉じた。

私はずっと、彼の側にいた。

 


夕方、セラフィムが目を覚ました。 


「……ん……」


「目が覚めましたか?」


「リディアさん……? まだいてくれたんですか?」


「当然です」 


「でも、もう夕方……授業は……」


「サボりました」


「……っ!? それは駄目です……!」


セラフィムが慌てて起き上がろうとする。


「大丈夫です、大丈夫です!」


彼を寝かせた。


「セラフィムさんの方が大事ですから」


「僕なんかのために……」 


「セラフィムさんは大切な友達です。だから、心配するのは当たり前です」 


「……」


セラフィムの頬を涙が伝う。


「ありがとうございます……」


「……?」


「誰かに、こんなに……心配してもらったこと……ありませんでした……」


彼は涙を拭いた。


「……嬉しくて」


その涙を見て私も泣きそうになった。 


「……セラフィムさん」


「はい?」


「もっと自分を大切にしてください」


「……え?」


「無理してピアノを弾いたりしないでください。体調が悪い時は休んでください」


彼の手を握った。


「私は、セラフィムさんに倒れてほしくないです」 

その言葉にセラフィムはまた涙を流した。 


「リディアさん……」


「だから、約束してください」


「……はい。約束します」


私の手を握り返す。


「でも……」


「でも……?」


「ピアノは、やめられません」


「え……?」


「ピアノは僕の全てだから……」


セラフィムは真剣な顔で言った。


「でも無理はしません。約束します」


「はい」 


私は頷いた。


それからセラフィムは少しずつ体調に気をつけるようになった。 


「今日は少し疲れているので、短めにしましょう」


「はい!」


無理をしない。

でも音楽は続ける。

私もできるだけ彼の負担にならないように気をつけた。


「セラフィムさん、休憩しましょう」


「……はい」


二人で、お茶を飲みながらおしゃべり。


「……リディアさん」


「はい?」


「……あなたと会えて、本当に良かったです」


「私もです」


セラフィムは微笑んだ。


「あなたがいるから……僕は前を向けます」


その言葉が嬉しかった。


「これからも、一緒にいてくれますか?」


「もちろんです!」


私は即答した。

セラフィムの笑顔は太陽のように明るかった。


でも——

その笑顔の奥に。

何か——

不安そうなものが見えた気がした。


(セラフィムさん……)


彼はまだ、何か抱えている。

いつか話してくれるだろうか。

そう思いながら私は彼の側にいることを決めた。




第3話を読んでくださり、ありがとうございます!

セラフィムルート、いかがでしたでしょうか?

今回は二人の音楽を通じた絆が深まる回でした。

一緒にピアノを弾く温かいシーンから、セラフィムの持病が明らかになる展開まで……切なくも優しい時間が流れましたね。

セラフィムの過去、亡き母の思い出、そして彼の孤独。リディアの「友達」という言葉に涙するシーンは、書いていて胸が熱くなりました。体が弱くても音楽を続ける彼の覚悟と、それを見守るリディアの優しさ……。

でも最後、セラフィムの笑顔の奥に見えた「不安」。彼はまだ何か抱えているようです。次回、その秘密が明かされるかもしれません……。

次回もお楽しみに!

皆さまの感想・ご意見をお待ちしています!

今後、どんなエピソードが読みたいですか?

•セラフィムの秘密が明かされる展開

•二人の演奏会・発表会

•もっと甘いシーン

•他キャラとの絡み

ぜひ教えてください!参考にさせていただきます。

それでは、次回もお楽しみに!

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