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5章 大罪
葬式から数日。
僕は、自分の背負った罪をどうすることもできずにいた。
あの日、君に伝えられなかった「ごめんなさい」と「ありがとう」が、胸の奥でずっとうずいている。
誰かに話すこともできず、涙を流すこともできず、
ただ罪の重さだけが日々を押し潰していった。
――もう、終わらせよう。
天国で待ってて。
もう、そっちに行くから。
足は自然と、高層マンションの玄関へと向かっていた。
冷たい金属の手すり。
薄暗い廊下。
そして、嫌な音が響いた。
靴底が床に擦れる金属音。
周囲に低く、冷たく広がる音。
その瞬間、僕は自分の罪の重さと、もう取り返せない時間を痛感した。
――これが僕の“大罪”の結末だ。




