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3章 葬式の中で
会場の空気は、静かすぎて苦しかった。
花に囲まれた君の顔は、まるで眠っているみたいに穏やかで。
だけど、どんなに願っても、もう二度と目を開けることはない。
涙が止まらなかった。
喉の奥がつまって、声にならない。
でも、どうしても伝えたかった。
「……ごめん」
「……ありがとう」
震える声で絞り出した言葉は、誰の耳にも届かなかった。
届いてほしい人には、もう永遠に届かない。
あの日、軽々しく口にした「ごめん」。
本当は、君にだけは責任を持って伝えなきゃいけなかった。
ありがとうだって、ちゃんと君に渡したかった。
でも、僕は逃げてしまった。
そして、その罪はもう二度と償えない。
君の棺を前にして初めて知る。
言葉は、遅すぎれば、ただの祈りにしかならないんだ。




