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9章 ありがとう
ある日、家族で遊園地に来ていた。
子どもたちは笑顔で走り回り、妻も楽しそうにしている。
僕も、少しだけ心から笑えていた。
――でも、悲劇は突然起こった。
ジェットコースターが崩れ、僕たちは瓦礫の山の下敷きになった。
周りの叫び、砕ける金属の音、悲鳴――全てが混ざり合い、世界は真っ暗になった。
そのとき、どこからか、あの声が聞こえた。
――「これが最後だよ」
心の底まで響く、君の声。
僕はその瞬間、救われたような気がした。
次に意識を取り戻したとき、白い壁が目に入った。
病室だった。
――僕も、家族も、軽傷で済んだ。
医者は言った。
「奇跡だ。死んでいてもおかしくなかった」
心臓が早鐘のように打つ中、僕はついに言えた。
――ありがとう。
――助けてくれて、ありがとう。
涙が止まらなかった。
君に伝えたかった、この言葉を、今やっと伝えられる――。
長く背負った罪も、後悔も、
この瞬間、少しだけ軽くなった気がした。
エピローグ
ごめんね。
でも、ありがとう。
君のおかげで、僕はこれからも生きていける。
大罪を背負い、後悔に苦しみながらも、
君が示してくれた想いを胸に、僕は歩き続ける――。
――ありがとう、君。




