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プロローグ 君の葬式
静かな会場に、花の匂いと線香の煙が漂っていた。
目の前には白い布に包まれた君の顔。眠るように穏やかで、でももう二度と目を覚ますことはない。
参列者たちのすすり泣きが、やけに遠くに聞こえた。
胸の奥にぽっかり穴が空いたみたいに、何も感じられない。
――どうして僕は、あのとき素直になれなかったんだろう。
「ごめん」と「ありがとう」を、君に渡すことができなかったんだろう。
君の棺を見つめながら、過去の記憶が次々と蘇る。
君と出会った日。
君に嫌われた日。
そして、君に救われていたことを、気づけなかった日々。
あぁ、これはきっと――僕の“大罪”だ。