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純粋少女と不良少年  作者:
出会い と 繋がり
6/51

06 不意打ち






那子(なこ)、一緒に帰ろう」


(ひじり)君が迎えに来た。

あの雨の日から、私たちは一緒に下校することが多くなっている。

聖君はHR(ホームルーム)が終わった後に、一緒に帰ろう。

…と言うわけではなく、いつも靴箱の側で待っていて、一緒に帰ろう。と言ってくるのです。

それが、慣れたのか分からないけど、私の生活の流れの一部となった。


だけど、今回は違った。

HRが終わった後に、一緒に帰ろう。と、言ってきたのだから。

だけど、私には先約があった。

聖君には悪いけれど……。


「あ、ゴメンね。これから、先生の手伝いしなきゃいけないから」

「俺もやる」

「一人でも大丈夫だよ」

「俺もやる」


…聖君って、以外に頑固なのかな?


「じゃあ、(かばん)置いて科学室に行こう」

「科学室?…まさか、アイツの手伝い?」

「そうだよ……?」

「やっぱり、俺がやる」

「えっ!?いや、私の仕事だから、ね!」


そんなこんなで、聖君と一緒に科学室へと向かった。






「遅かったじゃないかー、那子ちゃん…と、その犬」

「誰が犬だって?あ゛ぁ゛?」

「もう、最近の若者は物騒だなぁ」


この人は理科系の教科担当兼3-Aの担任を受け持っている、神林(かんばやし) 耀(よう)先生。

先生は加奈ちゃんの遠い親戚です。

そして私は先生の助手なのです。

聖君は先生の事が嫌いみたいだけど、なんでだろう?


「先生、何か手伝って欲しい事、って何ですか?」

「あぁ、コレを資料室に運んでくれないかな?」


〝コレ〟とは、大きい段ボール箱2つと、プリントの束だった。


「俺、これ持つから、那子はそれ持って」

「え、でもっ……」


そう言って、聖君は段ボール箱2つを抱えると、さっさと行ってしまった。


「あいつにも、心があったんだねぇ」


先生はしみじみと、そう言った。


「…え?」

「いや、こっちの話だよ」

「じゃあ、これ持って行きますね」

「お願いするよ。適当なところに置いてくれて良いから」


適当って……。


「はい」


とりあえず、返事はしておいた。







「聖君!」

「那子、それ重くない?量、多いけど……」

「聖君の方が重いでしょ?少し持つよ?」

「大丈夫。それに、那子が持つと危なっかしい」

「…そうだね」


私は否定しないで、そのまま聖君に持ってもらうことにした。

中学校の頃、私は無理して重たい物を持って、階段を踏み外したことがある。

それで、加奈ちゃんに注意されたことがあったからだ。


聖君は階段を下りていく。

急いで聖君の隣に行こうとして、小走りになった。

そうしたら、


「キャッ……!」

「…っ!」


私は何かに(つまづ)いてしまった。


―やばい、落っこちる……!


ドサッ、バサバサッ、ガンッ……!


何故(なぜ)か、痛みは無かった。

(おそ)る恐る、目を開けてみる。

(あた)りには私が(ほう)ったプリントの束や、聖

君が持ってた段ボール箱が()き散らされていた。

じゃあ、聖君は……?


「……?」

「…っ()ぅ」


聖君は私を(かば)うようにして、抱きかかえていた。

勢いで踊り場の壁にぶつかったらしい。


「か、庇ってくれたの!?」

「大丈夫か?」

「大丈夫…って、聖君怪我してるよ!?」


怪我は大したことはなさそう。

でも、聖君の手には(かす)り傷だけど、血が(にじ)み出ていた。

あとは、壁に背中を強打したに違いない。

少し、顔を(しか)めているし、私、結構体重あるし……。


「保健室いかないと……」

「いや、大丈夫。手は()めときゃ治るし」

「手はいいかもしれないけど、背中が……」

「それより、那子。今にも泣きそうな顔すんなよ」

「だって……」


聖君は短く溜息を(もら)らす。


「大丈夫だ、って言ってんだろ」


そう言って、私の(ひたい)に自分の(くちびる)を近づける。


「いいか?俺はキスできるくらい元気なんだから、大丈夫だって」

「…………」


無理をしているのは、目に見えているのに……。

聖君は私を心配させまいと、無理しているみたいだ。

…でも、キスは無いでしょ!?


「ほら、立てよ」


聖君は私の手を取って、立たせてくれた。

それから、2人で散らばったプリントを集めた。

段ボール箱の中身は幸い、割れ易い物は入っていなかった。

その代わり、ガラクタばかりだったけど。


「行くか」


聖君は段ボール箱を持って、言った。


「うん」


さっきよりも、何だか聖君は歩くのが速くなっている。

そこで、気がついた。

聖君の顔が赤いことに……。


「聖君!」

「何?」


返事はしてくれたものの、聖君は振り向いてくれない。

きっと、まだ赤いんだろうな……。


私は聖君のところまで駆けて行く。

転ばないように注意しながら。

そして、


「ありがとう」


言って、(くちびり)を聖君の頬に寄せた。


「先に行ってるからねっ」

「…………」


私は赤面しながら、資料室まで走った。

後に、耳まで赤くなった聖君を残して……。


私だって、恥ずかしいよっ!







聖はその場にへたり込んだ。


「…~今のは反則だろっ」


那子に、不意打ちされてしまった。

まさか、あのタイミングでキスされるとは……。


どうしよう。

俺は那子のことを、好き過ぎてる……。







「あ~ぁぁー。青春っていいなぁー」


その一部始終を、影で見ていた教師がいた。


「そろそろ、結婚しようかなぁ……」


そして、そんなことをぼやいていた。













階段から落ちるシーンを書きたかった。

そして、不意打ち…。

前回もやりましたよね(;´∀`)


那子の体重が乗っかって、かなり背中を強打したんだよ、聖は!

軽いはずなんだけどなー。(;´∀`)

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