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純粋少女と不良少年  作者:
好き と 嫌い
41/51

40 そう、君はいつだって唐突だ





―市内の神社


集合時間は午後2時、場所は神社の入り口付近。

そこに、5分前に着くと、既に(みね)がいた。


「あけおめ~!意外と早いな、(ひじり)!」

「ことよろ。峰は何?俺も今来た、ってトコ?」

「それは彼氏が言うセリフだろ~?」


峰は今年も通常運転だった。

白桜祭(はくおうさい)のときのシリアスな感じはどこに?って感じだ。


「それより、那子(なこ)ちゃんとは一緒に来てないわけ?斎条さんは?」

「那子は、斎条と一緒らしいけど……」


コイツ、斎条には〝さん〟付けなんだな。

上下関係がはっきりしている。


「あ、来たぞ!」


と、峰が指した方には、振袖姿の那子と、斎条がいた。

俺達に気づいた2人は、手を振っていた。


「明けましておめでとう」

「2人とも、今年もよろしくね~」

「こっちこそ、よろしくー」


…ヤッバぃ、那子可愛い。

桃色の振袖に身を包んだ那子は、もう、そりゃぁもう、可愛かった。


「……?聖君、どうしたの?」

「あ、いや、何でもない……」


どうやら俺は、那子を凝視していたようだった。

そりゃぁ、変に思われるよな。


「今年もよろしくねッ」

「…おぅ」


那子は今年も可愛かった。


「この振袖ねー、加奈ちゃん家でやってもらったんだ!」

「あぁ、可愛いな……」

「斎条さんの家って、華道の家元だったっけ?」

「そうよ。それに、着付けは基本だから」


でも、何で態々花を生けるのに着物を着るんだ?

風習か何かか?

そんなことはどうでもいいのだが、ちょっと気になってしまった。


「じゃ、参拝するか!」

「人が多いようだけど、待つのかしら?」

「この分だと、30分ぐらいはかかるんじゃないか?」

「あ、私、今日は用事があるから、そんなにはいれない、よ?」


…そんな上目遣いで俺を見るなよ。

可愛いじゃないか!

これを写真に撮っておけたならば、よかったのに……。


…って、そうじゃなく、用事って何だ?

那子の様子からして、結構重要そうだ。


「用事って、何時ごろ?」

「待ち合わせは3時なんだよね~」

「じゃあ、あんまり居られないんだぁ……」

「ごめんね?」

「まぁ、那子ちゃんの用事なんだから仕方ないさ」


峰が、那子に(なぐさ)めるように言った。

だけど、何の用事かは気になるな……。


「誰かと会うのか?」

「うん。お父さんに」

「正月だもんな」

「でも、すぐ戻っちゃうんだ」

「いつ?」

「短くて3日後、長くても一週間後にはね。毎年、いつ向こうに戻るか分からないの」


お父さんが気まぐれだから。と、那子は嬉しそうに言った。

出張で海外暮らしの父親とは、一年に2、3回しか会えないそうだ。

連絡はしょっちゅう取り合ってるらしいが、矢張(やは)り、会えなくて寂しいんだろうな。

お母さんも、幼い頃亡くした、って言うし……。


「それじゃ、おみくじだけでもやっておくか?」

「そうだなー、そうするか」

「ご、ごめんね!」

「別に、那子が謝る必要は無いわよ」


那子はまだ、申し訳なさそうに、小さくなっていた。

それから、おみくじ売り場へ向かった。


「せーの、で見せようなっ」


皆がおみくじを買ったのを見計(みはか)らって、峰が言った。


「せーのっ」


結果だけを言うと、俺が中吉、那子が吉、斎条が大吉、峰が凶だった。

凶を引いた峰を慰めるように、那子が言った。

さっきとは、明らかに立場が逆だ。


「で、でも、〝探し物は見つかる〟ってあるよ!?」

「〝また無くすだろう〟とも書いてあるわよ」

「あ、ホントだ……」

「いいんだ、那子ちゃん。慰めてくれなくても、俺は……」

「そう言いながらも泣きそうだぞ、お前」


おみくじでこんなに一喜一憂する奴も、あんまりいないだろう。

峰は、何だか忙しい奴だ。


「どれ、聖には何て書いてあるかな~?」


そう言って、バッと俺が持っていたおみくじを、峰は奪い取った。

人の見て、そんなに面白いか?


「〝待ち人 根気よく待てば来るはず〟って、適当だなー」

「〝健康 些細(ささい)なものにも(つまづ)く暗示〟ドジだったのね、永野くんって」

「〝勝負 形勢逆転できるチャンスが到来〟チャンスが来るまでは負けちゃってるんだ……」

「そんな哀れみの眼差しで俺を見るな」


悲しくなるだろうが。

おかしいな、俺中吉を引いたはずなのに、書いてあることが(ひど)くないか?

凶を引いた峰よりも扱いが酷いような気がする。


「でも、〝今年の運勢 ()せば()る〟って、書いてあるよ!」

「ん、あぁ、そうだな」

「そんなに落ち込むなってー、聖には那子ちゃんがいるじゃないか!」

「そうだな。彼女のいないお前とは違って、俺には那子がいるからな」


そう言ったら、峰に(なぐ)られた。

頭を、こう、バシィッ…、と。

悔しいんだろうな。


「でも、永野くん、那子と付き合ってるの?確か、何か誓約(せいやく)があった気がするのだけれど……」

「あぁ、誓約な」


それは、まぁ、那子次第(しだい)なんだよな。

今のところ。


「……聖くん」

「ん?どうした?」


那子を見()ると、さっきとは顔つきが違った。

真剣みを()びている、と言ったらいいのだろうか。

そんな感じ。


「私と」


新年が明けて、一つ年を(また)いだ境内(けいだい)は、沢山の人で(あふ)れ返っていた。

初詣(はつもうで)に来た参拝者や、神主(かんぬし)巫女(みこ)さん、屋台を出している人。

そんな中で、俺は、真剣な顔をした那子と向き合っていた。

沢山の人がいる中、今日、ここ、この場所で。


「付き合ってください」


俺は、那子に告白された。











曖昧すぎてよう分からん!

ムードがないところを笑ってください!


1月中に終わらなかった……。

風邪には気をつけて!



追伸:2月中の更新は少ないです。

頑張っても、きっと1話ぐらいかと……。

3月からは通常運行できるように頑張ります。

試験勉強しなきゃいけないので。

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