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純粋少女と不良少年  作者:
好き と 嫌い
39/51

38 思い出話






スーパーで一通り買い物を終えて、自宅へと戻ったわけだが……。


「加奈ちゃん、帰っちゃったもんなー」


あーあー。と、声を漏らしながら、俺は悪態をついていた。

加奈は買ったケーキを家に置いてから来る、とは言っていた。

しかし、本当に来るだろうか。

逃げられただけではないのか。

それで、今、俺は悶々(もんもん)としていた。

まぁ、二人分作っても、損は無いんだけどさ。

聖が食べるし。

でも、加奈が結構な量を食べるから、多めなんだよな。

一食では食べきれないな、この量は、うん。


「……用意すっかー」


重い腰を上げながら、そう呟いた。

一人寂しく、加奈はきっと来る!と思っていれば、いいのだろう。

どうせ、料理していれば、そんなことは気にしなくなる。

〝そんなこと〟とは、言い方が酷いかもしれないが……。


最近では、料理も手慣れたもので、元々手先は器用な方だけど、手際もよくなっている。

来るかどうか分からない加奈の為に、俺は手料理を振舞うことにした。

その手料理を、一人で寂しく聖夜に食すかもしれないと思うと、更に気分が落ち込んだけど……。







ピンポーン、ピンポーン~♪


午後七時過ぎ、神林(かんばやし)耀(よう)が住むマンションの一室に、チャイムの音が鳴った。

リビングで(くつろ)いでいた俺は、バタバタと玄関まで走っていく。

玄関の戸口を開けると、そこには、


「今晩は」


綺麗に装った、斎条加奈が立っていた。

いや、そこに立っているのは、俺が呼んだんだから、当然と言っちゃあ、当然だけど。

何か、昼間会った時よりも、こう、何と言うか、

〝おめかしした〟〝お洒落(しゃれ)した〟みたいな感じだったから。

何か、ちょっと、ビックリした。


「あ、あぁ、どうぞ。あがって、あがって!」

「お邪魔します」


加奈は行儀良く靴を脱いで揃えて、俺が用意しておいた客用のスリッパを履いて、

リビングに向かった。

リビングの床はフローリングに、壁は白っぽいアイボリー。

部屋の雰囲気に合わせて、家具は殆ど白っぽい。

テーブルは木製で、明るめのブラウンだけれど、

ソファや、椅子、テレビの台、棚、その他諸々(もろもろ)白だ。


「結構、キレイにしているのね」

「掃除はマメにしてるからな」

「耀くんって、そんなにキレイ好きだったっけ?」

「潔癖症程じゃないけど、人並み程度にはキレイ好き」

「へぇ……」


それにしても、呼び方とか、話し方が、昼間とは違うな。

昔に戻った、っていうか。

まぁ、学校じゃないんだから、それぐらい、普段と違ってもおかしくないか。


「これ、全部耀くんが作ったの?」


加奈はダイニングテーブルの上にある料理を見て、言った。


「まぁな」

「すごいね」

「一人暮らしだったし、従弟もいるからな」

「それだけで、こんなに豪華そうなものが作れるとは思えないけれど……」

「趣味みたいなモンだしな~」


クリスマスディナーだから、張り切ってしまったんだけどな。

ビーフストロガノフとか作ってみたんだぜ!

それから、シーザーサラダにオニオンスープとか。

勿論、加奈の好きなチーズを沢山使ったラザニアやグラタン、カルボナーラもある。

デザートのチーズケーキだってあるのだ。

完璧である。

加奈の胃袋を掴むには、もう完璧である。


「もう食うか?」

「食う」

「おぅ、威勢がいいねぇ」


俺達は向かい合って座った。

食べ始めると、加奈は既に3分の1を食らっていた。

こう見えても加奈は、結構食べるからなぁ。

量、多くしててよかった……。


「前も、耀くんに作ってもらって、こうやって食べたよね」

「あぁ…、そうだったな」

「耀くんは今より、冷たかったって言うか、無関心って感じだったよね」

「んー、そうだったかもな~」


前、か。

加奈と会ったのは、何時だったかな。

加奈が5、6歳だったから、10年くらい前か。


「耀くん、超無愛想でさ、大人からは煙たがられてたんだよ?」

「知ってたよ、それぐらい」

「あまりにも耀くんが対人関係薄かったから、私でリハビリしようとしてたんでしょ?」

「周りが、そうさせたんだよ」


当時、俺は15歳そこそこにも関わらず、友達とか、そんなものは当然、いなかった。

言い換えると、作ろうとも、その努力すらしていなかった。

必要が、無かったから。


「そういう年頃だったんだよ」

「はいはい」


加奈は子供をあしらう様に、言った。

昔は可愛かったのになー。

いや、今も可愛いけど、可愛げがないというか……。


「ね、ね!」


加奈は物欲しそうに、言った。

こういう時は大抵、食べ物関連だ。


「まだ食うの?」

「デザートは別腹だもん!」

「あー、はいはい」


テーブルの上の、すっかり何も残っていない皿を重ねて、流しに置いた。

それから、デザートに作ってあったチーズケーキを、冷蔵庫から取り出した。

ちゃんと4種類作ってあります。

スフレチーズケーキ、レアチーズケーキ、ベイクドチーズケーキ、ニューヨークチーズケーキ……。

これ、小さく作ったから、全部食べるだろうね、加奈ならね。


「はーやーくー」

「お前さ、学校の時と、キャラが全然ちがうよな……」

「耀くんといる時は、いーのー」


加奈は頬を膨らませて、不貞腐(ふてくさ)れた様に言った。

もうその行動で、昔に戻った、って言うか、退化した、って言うか……。

やっぱり、そのキャラ違うよ、お前。


「ほら、俺特性のチーズケーキだ!4種類あるからな!全部食えよ!」

「…………ッ!」


加奈は〝俺特性〟の、〝俺特性〟の、チーズケーキを目の前にして、声が出ないようだった。

そうだろうなぁ。

お前の大好物は、他でもない、俺が作ったチーズケーキだったもんなぁ!

加奈があんなに、目を輝かせるのは、俺が作ったチーズケーキだけだ。

……でも、何かそれも、空しいな。

料理だけなのか、結局は。


「いただきますっ!」

「おう、食え!どんどん食え!残らず食え!」


でも、本当に、こんなの、いつ振りだろうな。

俺が高校卒業するまでだったっけ。

懐かしいな。


「美味いか?」

「んっ、……美味しいっ!」

「……そっか」


(ひじり)でもこんな風に言ってくれないんだよなぁ。

悲しいことに。

加奈は学校ではツンツンしてるけど、昔はこんな感じで、可愛げがあってさ。

本当に、懐かしいよ。











恋愛系に繋げようとしたのですが、無理だった……。

無念です。

でも、そんなことしたら、耀さんが本領発揮しちゃうかもしれないから。

ここは、自主規制しておきました。

思い出を懐かしむ感じになっちゃったけど。

爺さんみたいだなぁ。


加奈のキャラ崩壊はどうしようもない。

実は妹属性だったんだ!

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