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純粋少女と不良少年  作者:
過去 と 変化
31/51

30.5 勝利の真相




3-A 打ち上げ会場―カラオケにて


「それでは、皆さん。 白桜祭(はくおうさい)、お疲れさん! 乾杯!」

『カンパーイ!!』


あるカラオケ店の広い一室では、3-Aの生徒と担任が打ち上げをしていた。

その会場と化した部屋では、勝利の(うたげ)のように盛り上がっていた。


白桜高等学校、白桜祭優秀賞、3年Aクラス。

全校24クラスの頂点に立ったクラス。

貪欲(どんよく)にも、優秀賞とその賞品の〝食堂のタダ券〟を獲得したクラス。

何よりも、3-Aの生徒を優秀賞へと導いた、神林耀(かんばやしよう)が担任のクラス。


神林耀。

今年、若くして担任を持った人物。

詳しく言えば、始業式早々、3-Aの担任が事故に巻き込まれ入院中、

臨時担任になったが、周囲からはその業績を称えられ〝担任〟だと認められている。

神林先生が担任じゃなきゃイヤ!と、女子生徒が言うぐらいの人物である。

備考欄には、〝イケメン〟と表記されている。


しかし、何故、神林耀が3-Aを優秀賞、否、勝利へと導いたのか…。

神林耀の、白桜祭武勇伝はLHR(ロングホームルーム)へと(さかのぼ)る。

この時間は白桜祭の出し物を決めるためのものだった。

中々、案が固まらなたかった3-Aに鶴の一声が……。


「俺、キャバクラやってほしいなー。 ついでにホストクラブも作っちゃえば?」


そう、この一言が、3-Aを優秀賞へと導いたのだった―…。

しかし、この案がよく通ったものだ。

考案した本人曰く。


「女子がいればそれなりに(もう)かる」


…だ、そうだ。

それはどういう意味なのかは闇の中だが、それなりに考えがあっての案なのは事実らしい。


「いや、ただ俺はハーレムを作り上げようと……」


…などと、浮ついた虚言(きょげん)は聞こえなかったことにしよう。







神林耀の助言は、作業中にも及び、生徒達の士気も上がりに上がった。

そして当日には、教師や多くの生徒が足を運ぶことになった。

何も問題もなく、商売繁盛した3-Aは優秀賞になったわけだ。


クラスの白桜祭実行委員長は、壇上でこう言った。


「全部、神林先生のお陰っす!」


そんな彼、否彼ら3-Aに、神林耀は一言。


「いや、君達の頑張りあっての、賞だよ。」


と。

その一言に3-Aの生徒達は涙し、教師達は感動し、

更には全校生徒が悔しさを忘れたかのように、激励した。

そうだ。







「嘘だ。」

「本当だって。」

「嘘だ。」

「お前も聞いていただろう。 神林先生の、あの感動的な一言を。」


場所は神林宅のリビング。

ソファの上で、聖は仏頂面、耀はにやにやしたような笑みを浮かべていた。


「俺は信じない。」

「本当です。 そうじゃなきゃ、あの感動はない。」


神林耀の武勇伝を、聖は信じないの一点張り。

そんな聖を耀は眺めている、そんな図だ。


「お前は、ホストみたいだな。 キザな言葉を並べて、馬鹿な女を口説くんだ。」

「そんなことはしない。 俺は紳士的に女性を落とすよ。」

似非(えせ)紳士」

「不良」

「へたれ」

「野良猫」


会話は悪口へと変わっていき、最終的にはただの口喧嘩になっていった。

しかし、これが3-Aの勝利の真相である。

短く(とぼ)しい説明だったが、何とか理解して欲しい。











悩んだ末、こうなった。

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