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純粋少女と不良少年  作者:
過去 と 変化
29/51

29 後夜祭






(みね)(いき)(はか)らいで、俺は那子を誘った。

そして、場所は図書室。

何故、図書室なのか。

それは…―


「まさか、聖君が人酔いするなんて思わなかったよ~。」

「…ごめん。」

「私は大丈夫だよ? 一通り回ったし。」


俺が人酔いして、緊急避難所、もとい、偶然近くにあった図書室に人の波から脱出したわけだ。


「ホント、ごめん……」

「もう、謝んないでよ~、大丈夫だから!」


情けない。

男として、情けない。


「でも、白桜祭(はくおうさい)も終わりだね。」

「…そうだな。」

「何か、買ってくる?」

「や、大丈夫……。」


そんな素っ気無い返事をして、窓の外を見やる。

ここはグラウンドがよく見えるから、ちょっとした穴場だ。

今は、リサイタルやらバンドやらで盛り上がってるらしい。


「そういえば、神林(かんばやし)先生がね、実験発表してたんだよ!」

「あー、そういや、何かやるって言ってたな…。」

「3日間、色々な実験をやっててね、面白かったよ~!」

「そっか…。」

「…聖君、まだ、具合悪い?」

「ちょっと…。」


また、素っ気無い返事しか返せなかった。

那子はちょっと暇そうに、マジックショーを見物している。


流石(さすが)に疲れちゃったね~、クラスの。」

「確かに。 ハードスケジュールだった…。」

「とりあえず、トラブルも何もなくて、よかったよ~。」


俺は那子に何もなくてよかったよ。

ナンパとかされなくて……。


「ねぇねぇ、後夜祭はどうするの?」

「グラウンドでキャンプファイヤーだろ?」


廃材をグラウンドで燃やしてキャンプファイヤーってのは、法律で大丈夫なのか?

ギリギリ危ないと思うのだが……。


「それから、キャンプファイヤーの周りで、ダンス踊るんでしょ?」

「……そう、だった、か?」

「そうだよぉ。 加奈ちゃん、言ってたもん。」

「俺、踊れないし。」

「適当に回ってればいいんだよ!」


適当!?

いいのか、それで!?

それで、踊ったことにはならないと思うのだが、どうなんだろう。


「まぁ、まだだろ、ダンスは。」

「そう? もう、そろそろだよ?」

「…マジで?」

「うん。」


那子は、輝きをたたえた瞳で、俺を見る。

そんな瞳をされたら、俺は那子とShall we dance?

…と、言わなければいけない気がしてくるじゃないかっ!


「嫌なら、いいけど…。」


那子の言葉に、俺は何を思ったのか、

外の喧騒を耳にしながらも、俺は立ち上がる。

その勢いで、目の前の那子の腰へと、自分の手を回して、体を引き寄せる。


「えっ…!」


驚いた那子の顔が目の前にある。

外では、司会らしき声と、なだらかな曲が聞こえてくる。

多分、キャンプファイヤーの周りに集まって、下手なステップでも披露していることだろう。


「な、何…?」

「何って、踊るんだろ?」


行き場を失っていた那子の手が、俺の手を取り、片方の手が背中に回される。


「聖君、ヘタ~」

「仕方ないだろ! 那子だって、出来てねぇじゃんか!」

「えぇっ!? ひどいよぉ!」


そうしている内に、曲も終わりに近いてきた。


「那子」

「何?」

「……好きだ」

「…私も。」







聖と那子がイチャコラしている時だった。


「呼びにきたっていうのに、あのカップルめ…。」


図書室の戸の前には、一人の人物がいた。


「あ~ぁ~、僕も彼女の1人や2人、作るかな~。」


峰は一人、またグラウンドへと向かいながら、呟いた。











取りあえず、いちゃいちゃしてるのが書きたかった…!

最後の方がぐだぐだなのは、気にしない。


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