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純粋少女と不良少年  作者:
過去 と 変化
27/51

27 白桜祭





一方、最終調整に取り掛かっている厨房では…。


「ぅーしっ! 皆、頑張るぞー!」


と、言いながら、峰は周りの級友と騒いでいた。


「お前ら、いい加減手伝えよ。 厨房とか」

「聖、そんな固いこと言うな。 これも青春の1ページだぁっ!」

「張り切るトコ、違うだろーが」


級友と張り切っているが、周りとは思いっきり温度差が違う。

目の前の作業には、目もくれていなかった。


聖は溜息を吐きながら、さっきまでは、あんなに活気があったのにな。と思っていた。


「ま、心配しなくても、9時ンなったら本気出すよ」

「…最終調整ぐらい、手伝えよ」

「あぁ、厨房めっちゃテンパってるよな~。 アッハハハ~☆」

「笑ってる場合じゃないだろ」

「じゃ、実行委員長は手助けしに行ってくるよ。 仕方なしにね~」

「それがお前の仕事だっつーの」


手をひらひら振って、峰は厨房に消え去った。


―峰のこういう姿を見る限り、悩みを抱えているなんて、思えないよな…。







『いよいよ、白桜祭(はくおうさい)が始まります。 3日間、生徒の皆さんは頑張ってください。』


生徒会が白桜祭、開始の短いアナウンスの後、様々なBGMがメドレーのように流れた。

選曲は誰の趣味か、あるいは生徒会各々の好みか、それらの曲が校内では浮いていた。


「いらっしゃいませー!」


BGMがけたたましく流れる中、〝喫茶 ONOGUCHI〟も開店した。


「3名様、ごあんな~い!」

「至急! ティーセット追加!」

「早く、これ持っていけ!」

「お待たせしました~!」


1-Cは既に、喧騒の波にのまれた。

厨房にいる人やウェイトレスなどは、慌しく動いている。


聖と峰は最初のタイムスケジュールは非番だったが、売れ行きが気になり、レジ近くで確認している。

那子も加奈も宣伝に出向いていた。


「…すごいな、人が。」

「そりゃーなぁ。 白桜祭は毎年、色んな所から、色んな人が来るんだぜ。 知らないのか?」

「今年、こっちに来たばっかりだからな。」

「地方人?」

「いや、実家はここら辺だけど、従兄の家の方が近かったんだ。」

「そっか。」


そう相槌を打った峰は、何か思い立ったのか、急に聖の腕を掴んできた。


「何っ…!」

「折角だし、白桜祭、満喫しないと損だろ!?」


そして、いきなり走り出した。


「峰っ、ストップ! 止まれ!」

「お客さん、〝みね臨時特急〟は、止まることを知りません!」

「知るかっ!!」


廊下は走るなーっ!という声を聞き流しつつ、2人は走る。







「ここ、ここ!」

「どこ、だって…?」


聖は息も絶え絶えに、吸ったり吐いたりを繰り返している。

峰はそんなことお構いなしに、聖をぐいぐい引っ張る。


「やっぱ、料理部のカフェテラスっしょ~!」

「テラスっつーか、中庭…」

「何も言うな! よし、行こう!」


料理部は様々なところに模擬店などを出している。

メニューは場所によって違うらしく、中庭はチュロス、ベルギーワッフル、クレープなどが各300円で販売してある。

それ相応の値段かは、食べてみないとわからない。


しかし、そんなところでも廻り合わせはあるもので…。


「あ、聖君だ~」

「那子…」

「何だ、あんた達も来てたの」


―これは、もう、運命ではないだろうかっ…!


「爆発しろー」

「何だって…?」

「いや、なんでもない。」


峰が何かを口走ったが、聖は気にしないことにした。

次、もう一度言ったら、どうなるかは分からないが…。


「俺チュロスー。 あ、あのクレープも捨てがたい…。 ワッフルもいいなぁ~。」

「迷うぐらいなら、全部買えよ。」


甘いものには興味がない聖は、急かすように峰に言った。

そんな峰を見て、加奈が一つ提案した。


「皆、それぞれ買って、回し食いすればいいじゃないの。」

「君達っ、間接ちゅーは気にしないのかい…!?」

「子供じゃあるまいし。」

「何それ? お菓子?」


加奈はその点については無関心だが、那子にはそれ以前の問題だった。

見かねた聖は、峰に忠告するように、短い言葉で言う。


「峰」

「何?」

「お前、わかってるよな…?」

「間接ちゅーのこと? 那子ちゃん食べた後、聖がそれを食べれば問題ないのでは…?

 あ、これは、もしかして、死亡フラグなの?」


何かを察した峰は、一気に顔を青ざめた。


「わたし、クレープ買って来るね~」

「よし、俺はチュロス! 加奈ちゃんはワッフルよろしく!」

「わかったわ」

「聖は場所確保!」

「……」


寂しいとは、ひとカケラも思ってはいない。

しかし、席を取ろうとして、満席のテーブルに近づくのだが、自分を見て人が逃げていくのは少し空しい、と感じていた聖だった。


そして、数分後、3人は戻ってきた。


「美味しい~」

「だろ? 料理部の作ったものは何でも美味しいんだぜ!?」

「あら、永野君は食べないの?」

「いや、俺、甘いものは…」


苦手だから。と聖が言おうとした時だった。


「私が食べさせてあげるよ! はい、あーん」


峰がその光景を見てニヤニヤ笑い、加奈が恐ろしい感じに髪を逆立てたりする中、聖はいつになく、赤面していた。

もう、それは指先まで。


皆が食べ終わった後、急に峰が騒ぎ出した。


「って、君達! そんなことをしている場合じゃなかった!」

「な、なな何だよ、急に…!」


さっきまでの焦りを隠そうとして、隠し切れていない聖が聞くと、峰が焦りながら答えた。


「次! 俺らの番! 回ってきたの! もう、行かねば!」

「そういえば、皆同じ時間だったわね。」

「え、もう?」

「よし、皆捕まれぇ! 〝みね特急〟は止まりませんぞっ!!」


峰、一人で暴走するなっ!という声を聞き流しつつ、3人は峰の後を追った。


「白桜祭は、まだまだこれからだぞーっ!」


そんな峰の言葉を聞きながら…。











「文化祭」から「白桜祭」に変更しました。

学校名は白桜高校です。

今更ですが(;´∀`)


他の文章も直しておきますので、

誤字・脱字があれば、報告お願いします。


峰って、こんなキャラだったっけ?

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