13 君の一番になるために
そこで、俺は何を考えていたんだ。と、自制する。
「ケーキあるから、取ってくる」
「あ…、うん」
いくらなんでも、那子は無防備すぎではないだろうか。
…というか、俺がただ単に変態なだけなんじゃ。
…あー、そうかも。
冷蔵庫からケーキを取り出す。
俺は甘いものはそれ程好きでもないから、那子の分だけだ。
昨日、耀が知り合いから貰ったものらしいけど、気にしない。
少し、ここで頭を冷そうと、コップに冷水を入れ、一気に飲み干した。
まだ、顔が火照っているようだ。
那子が家に来ている所為だろうか?
それとも那子を見て、変な想像をしてしまったからだろうか?
変な想像と言っても、そんな想像ではなく……、以下略。
那子を待たせるのも悪いので、部屋に向かった。
部屋に戻ると、那子は俺の机を凝視していた。
何かを見ているような、俺が見られたくないものを見ているような……。
「―……っ!」
「あ!ゴメンねっ、勝手に……」
那子はパソコンの画面を見ていた。
しかも、その画面には俺が執筆中の小説が……。
まぁ、いつか見られるものだから問題はないのだが、恥ずかしいような、なんというか……。
あぁ!
なんかもう、恥ずかしいなぁっ……!
「何、見てた?」
「え、と。コレ、小説だよね?」
「あぁ」
俺が怒っていると思っているのか、那子は少し怯えているようだ。
違う!
俺は怒っているわけではない!
人生初の執筆中の小説を見られて、恥ずかしいんだっ!
「この小説の続きを、早く見たいなぁ。なんて、思ってみたりして……」
「…マジで?」
「う、ん」
「そ、か。じゃあさ」
「うん……?」
少し、間があった。
そして、言った。
「俺、那子が一番好きな作者になってみせるから」
「…え?」
那子はきょとん、とした顔でこっちを見る。
あぁ、愛らしい。
愛しい。
「コレ、聖君が書いたの?」
言葉の代わりに、頷いて見せた。
そうしたら、那子は言った。
「うん、楽しみにしてるね。この小説、途中しか見てないけど、すごく面白いよ!」
那子は俺に微笑んだ。
それは、まるで天使のような……。
聖はちゃっかり告白してますね。
なんなんだ、コイツは。
編集して、短くしています。




