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純粋少女と不良少年  作者:
日常 と 思い出
11/51

11 君の言葉とその笑顔






「何で?何で無いの!?」


突然ですが、私は()くなってしまった本を探している最中です。

図書室の本だから、失くしたら買い直さないといけないし…。


「那子?どうしたの?」

「加奈ちゃん……」


図書室に来ない私を、探しに来てくれた加奈ちゃんが声をかけてくれた。

私は今にも泣きそうな顔で、加奈ちゃんを見た。


「図書室で借りた本、失くしちゃった……」

「どこかに忘れたのかもよ?探すの手伝うから、心当たりがあるなら教えて?」

「昼休みに中庭に行って、教室まで持ってきたはずなんだけど……」

「じゃ、私は中庭に行って来るから、那子は他のトコ探してみて!」

「うん、ありがとう!加奈ちゃん」


加奈ちゃんはダッシュで、中庭の方へ行ってしまった。

持つべきものは親友だぁ~……。

なんて、しみじみ思っていても仕方がない。

私は図書室に行ってみた。







図書室の戸を開けた。

図書室には最近図書委員になったばかりの、聖君がいた。

他にも担当の人はいるけど、部活があるから。と、聖君が(ほとん)ど仕事をしている状態だ。

今日も、本の整理をしたりと、大変そうだ。


私も図書委員が良かったけど、委員になったらなったで、仕事が忙しい。

読書クラブなんて続けられない。

一時期なったことはあるけど、()ぐやめた。

本を分類するのが大変で、仕事が追いつかなくなったからだ。


「那子、どうした?」


聖君はカウンターで、何かを書いていた。

私からは書いている内容は見えない。


「あ、聖君。私ね、借りた本、失くしちゃったみたいで、あの……」

「…本?中庭のベンチに置いてあったけど、これか?」


聖君はカウンターに置いてあった本をとって、私に見せた。

タイトルは『world』。

私が借りた本だった。

今、こんなこと考えるのも何だけど、最近借りている本が英語のタイトルばかりのような気がする。


「あ、それだ!」


私はホッとして、本を受け取りながら安堵(あんど)の溜息を漏らした。

本当によかったぁ~……。


「もう、失くすなよ。図書室の本なんだから」

「うん!ありがとう!」


聖君は照れ臭そうに、顔を(そむ)けた。

そこで、那子は思い出した。


「あ、加奈ちゃんにも探してもらってたんだ!」

「斎条も?」

「うん。メールしないと!」


那子は素早く携帯を取り出し、のんびりしている姿とは打って変わって、

凄まじい速さで文字を打ち込んでいる。


―使い慣れたら、こんなに速く動かせるもんなんだな。


そう思った後、那子が携帯をポケットに入れ、顔を上げた。


「聖君、本当にありがとう。私、すごく焦っちゃったんだよね」


そう言って、那子は満面の笑みを浮かべた。


「…別に、俺は何もしてない、から」


そう言う聖だったが、満更でもない表情をしていたのに、本人は気がついていなかった。











あっさりと終わってしまった…。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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