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純粋少女と不良少年  作者:
出会い と 繋がり
1/51

01 出会いは瞬間に






一時限目の終わりを告げるチャイムが、鳴り終わった。


「ぉ、わったぁ~」

「何、言ってんの。まだ一時限目でしょ」


私は昨日、徹夜で小説を読んだが為に、目の下に(くま)がくっきりとあった。

貴重な睡眠時間を、貴重な読書時間と引き換えにした証拠だ。


申し遅れましたが、私、(あらし) 那子(なこ)といいます。

只の読書好きの女子高生です。

ちょっと、人の顔を覚えるのが苦手です。


そして、私と他愛のない話をしてるのは、友人兼読書仲間の斎条(さいじょう) 加奈(かな)ちゃんです。

超が付く程の美少女で、いつも黒い髪が輝いて見えます。

そして、情報通。

私が周りの話についていけるのは、加奈ちゃんの情報のおかげです。


私たちは読書クラブに所属しています。

部員は私たちだけなんだけど……。


「それよりさ、今日アイツ来てるの、知ってる?」

「ふぇ?アイツって?」

「…アンタそういう話は(うと)いんだっけ?」


私は何の話かわからず、頭にクエスチョンマークが浮かんでいる。


「〝永野(ながの) (ひじり)〟って、知ってるよね?」

「永野君って、同じクラスでしょ?あとは、休みがちってことくらいしか……」

「じゃあ、不良ってことは?」

「え、そうなの?」


加奈ちゃんは、やっぱり。と、言わんばかりに溜息をつく。


「高校入学して、2ヶ月は経ってるでしょう?」

「うん」


私は適当に相槌を打った。


「入学式の日に、上級生を殴ったらしくて、その日からずっと停学だったのよ」

「そんなに荒れてるの?」

「荒れてるって言うか、喧嘩を買ってるって言うか……」

「へぇ~……」


のほほん、とした返事に(あき)れたのか、加奈ちゃんはまた深い溜息をついた。


「停学のことは学校が、曖昧(あいまい)にして対処したんだって」

「何で?」

「知られたくなかったんでしょ、学校側が」

「そっかぁ……」


またも頼りない返事をした私に、念を押すように加奈ちゃんは言った。

余程、心配らしい。


「…絶対に、あいつには近寄らないで!分かった!?」

「わかったから、そんなに(りき)まなくても大丈夫だよ!?」


加奈ちゃんの押しに、私は少し拍子抜けしてしまった。


「あっ!次、科学じゃない!」


加奈ちゃんは時計を見ると、急いだように言った。


何故なら、生徒が普段授業をする教室は西棟。

特別活動教室など、体育館や科学室は東棟にある。

それを梯子(はしご)する廊下は約50mあって、更に科学室は3階にあり、1年の教室は2階。

移動する時間は急いでも、2~3分程かかってしまう。


そんな中でも、私はキリのいいところで読書を終わらせたい。

だけど、加奈ちゃんはそれを許してはくれませんでした。


「那子!次、移動教室だってば!」

「ぅ~、あと5分~」

「5分もないから!科学室、行かないと!」

「ぇ~……」

「早く!」


私は加奈ちゃんに引っ張られ、廊下に出た。

なるべく早歩きで、科学室へ向かう。

走ると風紀委員会から罰則を食らうから。


「そんなに、あの小説面白かったの?」

「面白いよ!今度貸す?」

「私も読みかけがあるから、それ読んだらね」

「うん!」

「それから那子、あんまりフラフラ歩かないで」


私が気付かなかっただけで、かなり危なっかしく歩いていたらしい。

()れ違う相手とは、後何センチかで相手とぶつかるところだった。って、加奈ちゃんは言っていた。


「あと永野聖、結構授業サボってるから、どっかで会ったら気をつけてね」

「心配性だな~、加奈ちゃんは……」

「だって、こんなにフラフラ歩いてるんだから、心配するに決まってるでしょ!」

「はいはい、分かったよ~……」


ドンッ


余所見(よそみ)をしていた私は、誰かにぶつかってしまった。

言われた(そば)から……。

自分でも呆れてしまう。


「わ、すみません……」


私は上を見上げた。

その人は背が高かったのだ。


―うわぁ、キレイな顔してる……。


多分男子なんだろうけど、すごくキレイだった。

あと、すごく睨まれた。


「お前、どこ見て歩いてんだよ」

「す、すみませんでしたぁ!!」

「あ、那子!」


私は脱兎(だっと)(ごと)く逃げた。

だって、怖かったし、怖かったし、怖かったし……。


()(かく)、逃げた。

多分、科学室なんて通り過ぎてしまった。

自分でも、何処(どこ)を走っているのか分からなかった。











恋愛系は初挑戦だったので、自分でもよくわかりません。

感想を頂ければ嬉しいです。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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