95話 ラルフを尾行
フリィップ殿下びっくり作戦の話は煮詰まってしまったので、今日も放課後ライオネル殿下と練るつもりだった。場所は占い部だ。
「何度話し合っても同じところに着地するな」
「そうですね……」
けれど煮詰まってるものを煮詰めても答えはでない。
「はぁ、別の話をするか」
「では、ジュリアナ様についてお伺いしたいですわ」
生誕祭が終わったあと、彼女は学院にいっさい来ていない。その後どうなったのかはお触れでも出ているのか噂にもあがってこないのだ。
「ああ、謹慎中だな。お前に近づかないように接近禁止命令が出されている。お前が直訴するというから、お前の家から直訴内容が届いて裁判の最中だ。しばらくかかるだろう」
「なるほど」
今後はジュリアナ様に悩まされなくてもいいわけね。直訴すると言っても、やり方がわからなかったのでお兄様に投げてしまっていた。裁判にもなるわよね。
杞憂もなくなったことだし、気分転換でも提案しようかしら。
「他に話がないのであれば、どうでしょう占いの実地をしてみませんか?」
アウレリア様の恋人を探すことを優先させることにした。
私とライオネル殿下は下町に降りることにした。
「ラルフについてケイティに聞くんだったか」
「正しくは、ラルフさんがパンを買いに行くのを尾行するんです」
尾行。これもまた定番である。尾行することで何かしらを目撃、ないし新しい情報が手に入ること必須。現代だと探偵のような恰好や刑事のような恰好をしてるのがデフォルトだけど、普通にこの前の下町風の恰好でいいかな。
ラルフさんについては、どういう人なのかわかっていない。ただ飄々と躱す愛想のいい大人というくらいだ。ちなみに尾行に関してはケイティに話してある。ケイティにはラルフさんにアウレリア様のことをどう思っているか聞いてほしいとお願いしているのだ。
「ほら、ラルフさん出て来ましたよ」
ラルフさんがフィリップ殿下と交代でケイティと一緒に生徒会室から出てくる。ケイティを彼女の家まで送り届けるのだろう。彼らの後をそっとつけていけば、ライオネル殿下も大人しくついてくる。
ラルフさんとケイティは仲良さげに話しながら歩いている。校舎を出るところで、ノクタリウス様と鉢合わせた。ノクタリウス様はラルフさんを認めると眉根をひそめる。一方ラルフさんはにこにこと彼に笑いかける。対照的な二人にケイティが困った顔をしている。
「ケイティ、今帰りですか」
「は、はい! 家の手伝いがあるので帰らせていただきます」
ノクタリウス様はラルフさんよりも先にケイティに話しかける。ケイティは慌てて返事をしている様子だ。遠目から見ても穏やかな良い関係性だ。
実は、ノクタリウス様はケイティに簡単に篭絡されていた。どうやらアウレリア様の良いところを認識しているケイティに好感を持ったらしい。自慢をちやほや聞いてもらったのだろう。おかげでアウレリア様の小さい頃の話を私もケイティ経由で聞くことができた。ケイティのコミュ力恐るべし。
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