92話 反省してください
率直に聞くことにした。
「……何故です?」
「婚約者だから。とは違うな。レオが君に心を許してるように見えるからだよ」
ライオネル殿下が私に? 心臓が大きく鳴ったけど、心を落ち着ける。人からそう見えてるなら婚約者のフリはばっちりってことよね。と思考を変える。
「レオには背中を見せられる相手がいない。毒殺未遂も未来だけじゃなくて実際に何度かあったことだ。だから、いつもひとりで頑張っていた。でも、君と一緒にいる時は、なんていうか昔のレオを見ているようなんだ」
記憶を取り戻していないから、昔と言われてもわからない。少し気まずさとお腹にもやっとしたものを感じた。
自分の感情に振り回されてはいけない。
「……様子は見てみます」
私はかろうじてそう答えた。
弱ってる時は誰かが傍に居た方がいいだろう。いつ毒殺未遂が起こるかもわからないし、喧嘩相手のフリィップ殿下が傍にいることは不可能だろうし。様子を見るだけ。それならできる気がしたから。
「ただし、話の決着はご兄弟でつけてくださいね」
釘だけは厳しい口調でフリィップ殿下に刺した。喧嘩の仲裁はごめんである。その責任は喧嘩の原因を作ったフィリップ殿下にあるのだから。
「わかったよ。シルヴァレーン嬢は手厳しいんだな」
「フィリップ殿下に甘くする必要性はありませんよね? アウレリア様も、ノクタリウス様もライオネル殿下も、フィリップ殿下には甘いことですし?」
ライオネル殿下の気持ちをわかってるくせにそんな相談をしたフィリップ殿下が悪い。その思いをぶつけてしまった。
「レオを泣かせたのは悪かったよ」
「……反省してください」
ふうっと息を吐く。両手をあげて申し訳なさそうにしているので、とりあえずは許すことにする。
「想い人は、貴方に相応しくなろうと頑張っています。待つ……ただそれだけが貴方には必要だと、占い結果をお伝えしておきますね」
反省をしていた相手に、言いすぎたことを帳消しにしてもらうため、占いというアドバイスを伝える。
フィリップ殿下は大きく目を見開いてから、ふわっとした柔らかい笑みを浮かべた。
「ありがとう」
一言それだけ言われた。
「いえ、ここは恋愛の占いをする場所ですので。では、私はライオネル殿下をお訪ねします」
私が立ち上がると、フィリップ殿下は自分の署名が入った紙を手渡してきた。城内への通行許可書だ。事前準備は万端だったらしい。
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