91話 兄弟喧嘩
「それで、ライオネル殿下のことで何かご相談が?」
彼の名前を出すということは、フリィップ殿下は今ライオネル殿下のことで悩んでいるのだろう。ライオネル殿下の毒殺未遂の件かしら? 私は身構えた。
「実はさっきレオと喧嘩をしてしまってね」
「はっ?」
頭が処理しきれなくて、声が漏れた。さっきまで仲良いアピールしてませんでした? いや、喧嘩するほど仲が良いとも言うし、だから喧嘩したってこと? 頭が混乱する。
「なんだかその驚き方、レオと似てるね」
喧嘩したというのに、なんとものほほんとした感想を述べられた。笑ってはいるが眉尻は下がったままで本当に困っている様子ではあるんだけど。
口調と表情が一致してない。
「こほん。似てません」
咳払いをしてから、否定だけはしっかりとしておく。だって似てないし。
本題のが大事だから、それ以上突っ込まずに話の先を促した。
「喧嘩の原因はわかっているのですか?」
「レオがしようとしていた王位継承権の放棄を私がしたいと相談したんだ。そしたら怒りだしちゃって。ものすごい怒り方だったな。最後には泣かせちゃったし」
泣いたの!? いや、それほど気持ちが高ぶってたことでは? 驚きしかなくて数回目を瞬く。
いや、でも、それはそうでしょ。だってライオネル殿下はフィリップ殿下をどうしても王位につけたくて頑張ってたんだから。たぶん毒殺未遂の話もあったから余計に幼い頃から頑張って来たとは思うけど、兄を語るあの話しぶりは尊敬を感じるし、そんな兄に手のひら返されたら、それは……泣くかも。
「だから、慰めにいってくれないかな? と思って」
さっきからフィリップ殿下は驚くことばかり言ってくる。私に? 彼を慰めに? なんで?
「仲介役をやれということですか?」
「違うよ。話を聞いてやってほしいんだ」
ますますわけがわからない。私がライオネル殿下の話を聞いて何になるというのか。
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