90話 占いの館への珍客
私が占い部で準備を終えてしばらく経った頃、顔見知りのお客さんが来た。初めてここに来たのは、にこにこといつも通りの笑顔を浮かべた金髪の青年。良く来る彼とは違った透き通った青い瞳を持つフィリップ殿下だ。
「やあ、シルヴァレーン嬢。お邪魔して大丈夫かい?」
「はい。大丈夫です」
何の用かしら? と、緊張しながらもフィリップ殿下に椅子を勧める。お茶を淹れて出してから定位置に座りなおした。正面に座って改めて見ると、彼の目もサファイアという宝石のようだと思った。
「今日は占いをご所望でしょうか?」
「国についての予知ができるなら」
占いをしに来たのか別の要件なのかの問いをしたつもりだったけど、軽口が返って来た。やっぱりライオネル殿下と血がつながっているだけあるわ。
「それは先日お断りさせていただきましたよね? ライオネル殿下に釘を刺されてから、ここでは恋愛以外のご依頼は承っておりませんよ?」
ライオネル殿下相手のように反論することはできないので、恋愛関係以外を受け付けてない旨を伝える。
フリィップ殿下は困ったように眉尻を下げた。恋愛の相談ではないようだ。まあ、ケイティとのことは時間が解決してくれるものね。私から何かアドバイスできるとしたら、ケイティを信じて待つことぐらいなんだけど。
「恋愛か……兄弟の話でもダメかい?」
あら、兄弟間で何かあったのかしら? ライオネル殿下とのことなのか、はたまたその下のご兄弟なのか……。
ライオネル殿下に深入りしている身からすると、内容は非常に気になる。王城の人間関係のことについて話を聞けることなんて滅多にないだろう。恋愛しかダメと言ったのは、国に関わるような重大な話は止めてほしいということからだ。それはわかってるから、兄弟の話を出して来たのだろう。相手は話をしたい、私は話を聞きたい。それなら、聞いてもいいんじゃないかしら?
私は話を聞くことを決める。
「……私に何を聞きにいらしたのですか?」
「レオのこと、どう思ってるのかと思って」
何故アウレリア様と同じことを聞くのだろうか。本日二度目の質問に思わず眉間に皺が寄る。考えたくない時ほど向こうからやってくるというヤツなのだろうか。
「人として尊敬しています」
アウレリア様にした返答と同じ内容を返す。婚約者としての話をしているのであれば、それは今、どう答えていいのかわからない。婚約はしているけど、契約が終われば解消されると思うし。
「信頼はしてる?」
「はい、信用に値する方かと」
協力者として、私は彼を信頼している。心の底からの言葉をフィリップ殿下にぶつけた。
「……お互い信頼しあっているんだね。レオもシルヴァレーン嬢のこと信用に値するって言ってたよ。同じ言葉でちょっと笑えてしまうな」
緩んだ表情のフィリップ殿下は、ライオネル殿下のことをちゃんと考えている様子だ。仲が良いのだと身に沁みる。
それにしても同じ言葉を使うなんて、彼と私、似てるとこなんてないと思いたい。
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