89話 アウレリアの恋バナ
「それでアウレリア様は好きな人いるんですか?」
「貴女、踏み込んでくるわね」
「だってミシェル様も私もお話しましたから、今度はアウレリア様の番じゃないですか~!」
ナイス話題転換。そう、私もそこを聞きたかった。
「私もぜひお聞きしたいですわ。お友達とこうして恋バナできるなんて、いままでなかったものですから楽しくて……」
期待の眼差しをアウレリア様に向ける。そう、私も恥ずかしかったのだから、貴方も同じ思いを。なんて思ってない。これは、知らなきゃいけないことのため。そう、決して愉しんでるわけじゃない。
「……ま、まあ誰とは言いませんが、お慕いしてる方はおりますわ」
やはり、好きな人はいる。いるわけだ。さっきの三人は同様に好きと言ってたから、違うのだろうか。まだ三人を恋愛候補から外すのは早計かな。
「誰かは聞かないです~。でも、どんなところが好きとか、教えてください!」
「そうね、それくらいなら……」
どんどん情報を聞き出すケイティはさすがだ。私など足元にも及ばない。恋愛に鈍感と言われても仕方ないのかもしれない。私も誰かに恋をして恋愛経験値でもあげれば、どうにかなるのかしら? ライオネル殿下の顔が浮かびそうになって、慌てて打ち消す。
「彼ね、目がとても綺麗なの」
初めて見た。綻んだ、本当に愛おしそうな表情。綺麗の中に可愛さがある、これが恋する乙女の顔……。
「まるで宝石みたいだと思ったわ」
何故か、私はライオネル殿下の赤い瞳、ルビーのような瞳を思い出してしまった。いや、そんなはずはないとわかってるのだけれど。なぜか胸がざわつく。
「ほわぁ、素敵な人なんですね」
「どうかしらね?」
ケイティの言葉に悪戯っぽく笑ってアウレリア様は返す。どういう意味なんだろう。目が綺麗な彼をアウレリア様は好きに違いない。でも、確執もあるのだろうか。それともやっぱり秘めておかなきゃいけない恋?
「さ、そろそろ休憩はおしまいにしましょう。ケイティはお店の手伝い、ミシェルは占い部があるのでしょう?」
ずいぶんと長い事話していたようだ。アウレリア様に生徒会をおしまいにするよう促されてしまった。今日、これ以上の情報は出ないだろう。
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