84話 ケイティ生徒会の一員となる
ノクタリウス様についてはこれ以上言わなくても勝手に落ちてくれるだろう。
けど、今度は違う方向から反論の火が吹いた。
「平民が役に立つというの?」
アウレリア様がケイティを視線だけでじろじろと見ながら問いかける。
そういえばケイティにいろいろときつく言ってたのよね、アウレリア様。二人の相性悪いのかしら? でも、ヒロインの健気さで絆せると思うのよね。アウレリア様みたいな面倒見のいいタイプって。
だから私は、ケイティの良さをさらに言い募った。
「ケイティの成績はアウレリア様もご存じかと思います。彼女は成績もすこぶる優秀ですのよ」
「それは……知っているわ」
「アウレリア様! アウレリア様のためなら役に立って見せます!」
さっきよりもきらきらした目でアウレリア様を見るケイティ。意気込みはばっちりだ。その意気よケイティ。
普段の令嬢にはない無邪気さを浴びてか、アウレリア様は扇子で口元を隠しながら一歩下がった。明らかな動揺が見てとれる。
「……精々精進なさい」
「はい!」
数秒考えた後、アウレリア様はケイティを肯定してくれた。嬉しそうに返事をするケイティの顔は花が綻ぶように愛らしい。アウレリア様も目を細めて彼女を見ている。目の前で浴びる笑顔は眩しいだろうな。
それでも負けないように、アウレリア様はすっと目を細める。
「……何かあれば追い出しますからね?」
「はい!」
アウレリア様に釘を刺されたが、ケイティは笑顔のまま返事を元気よくする。
ふぅっと息を吐いて目元を緩めるアウレリア様は、ケイティを認めてくれたということで間違いないと思う。なんとかなって良かった。懸念が払拭されて安心した。
「よかったわね、ケイティ」
「はい!」
私にも笑顔を見せてくれる。良い子だわ、本当。
和気あいあいとした雰囲気。そこにまたしても冷や水をぶっかけたのはノクタリウス様だった。
「アウレリアと平民を一緒にするのは気が引ける。彼女については私が担当しましょう」
心配性だ。別にケイティはアウレリア様を取って食うわけじゃないんだけど。むしろ、世話心をつつくから仲良くなると思うんだけど。
でも、ノクタリウス様の提案を否定するほどの理由が見当たらない。
「いや、私が担当するよ」
異を唱えたのはフリィップ殿下だ。そりゃあ、担当したいでしょ。彼もケイティのこと諦めたわけじゃないだろうし。ケイティがきゅっと手を握りこむのが視界に入った。
「貴方はライオネル殿下をお願いします」
しかし、ノクタリウス様の意は固かった。フィリップ殿下と平民を一緒にするのも気が引けるのだろう。魔法の練習で二人が一緒だったのも、ノクタリウス様は胃を痛めていたかもしれない。
「レオはもう自分で仕事できるんだけどな」
「シルヴァレーン嬢、平民とアウレリアを二人だけにしないように」
フィリップ殿下の言葉を完全に無視して、ノクタリウス様は私に釘を刺す。私は「わかりました」と頷くに留めた。だって、私がいれば問題ないということでしょう? 二人きりにはならないのだから。そこで仲良くなってもらえばいいだけで、私にはなんの問題もない。
「では、仕事の説明をするから、平民――ケイティは私についてくるように」
「はい!」
ノクタリウス様はケイティに仕事のいろはを教え始める。ケイティもメモをしながら話を聞いている。ここは問題ないだろう。私もさっさと生徒会の仕事を済ませてしまおう。
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