83話 平民を登用
次の日。ライオネル殿下は昨日のジュリアナの件を学院長と話さないといけないというので、私はアウレリア様と一緒に生徒会室へ向かっていた。
「ふふ、生誕祭のミシェルはさいっこうだったわ」
道すがら、アウレリア様から今朝のことを褒めてもらった。頑張ったかいがあったと胸が温かくなる。とても緊張したし、恥ずかしさで感情も忙しなかった。そんな苦労を労われた気がした。
生徒会に到着して扉を開けると、見知った可愛らしい女性の姿があった。よかった、無事生徒会に入れたのね。
「ケイティ、生徒会に入ったのね!」
「はい! ライオネル殿下とミシェル様の推薦が通りまして、この度生徒会の一員となりました!」
「ケイティは優秀だもの、絶対大丈夫だと思った」
ケイティの手を取って喜ぶ。さすがケイティ。優秀さは先生たちも認めざるを得ないということね。
しかし、横からノクタリウス様に冷や水をかけられる。
「はあ、どういうことですか。平民を入れるなんて、ここは王族や侯爵家と言った地位のある人間とそれに付随する人間が入る場所ですよ?」
反対意見が出ることはわかっていた。だって、一般の貴族の感覚ではまさにその通りなのよね。王族がいる生徒会に平民を入れることがどれほどプライドを傷つけることかはわかっている。アウレリア様はすました顔をしているけど、会話に入ってこないところを見ると、やはり貴族的な考えなのかしら。
でも、二人には納得してもらうべきだ。
「ケイティは国にとって必要な人材です。彼女の魔法の力はこの学院の誰よりも優れています。魔法は希少な力、それを手放すなど国の損害が大きすぎますわ」
私はケイティのメリットをはっきりと告げる。
しかし、私の言葉ではノクタリウス様の嫌悪感を打ち消すにはまだ不十分なようだ。表情が歪んだままだ。
そこで追撃をしてくれたのは、一番奥に座っていたフィリップ殿下だった。
「そうだね、将来は僕かレオの直属になると思うよ」
「は!? 平民を登用すると!?」
フィリップ殿下のにこやかな笑顔とは逆に、ノクタリウス様の顔には驚きと怒りがにじみ出ている。これは心が揺さぶられている証拠。私は畳みかけるように言葉を綴った。
「平民であろうとも、特別な力がある場合は宰相にまで採用された例は過去にありますよ?」
「ぐっ……」
ノクタリウス様は息を詰まらせる。効いているようで何よりだ。
「ノクタリウス様、私頑張りますのでどうかよろしくお願いします!」
すかさずケイティが純粋な眼差しで訴え、頭をがばっと下げる。ノクタリウス様は普段見ない女性の仕草に戸惑って、固まってしまった。よし、ここでもう一押し。
「私、よく倒れてしまいますから、アウレリア様の負担を減らせてるように思えなくて……。ですから、ケイティが入ることで、アウレリア様の役にも立つと思いますの」
「……検討する」
検討という言葉を引き出せたということは、だいぶ傾いているということだ。ノクタリウス様についてはこれ以上言わなくても勝手に落ちてくれるだろう。
けど、今度は違う方向から反論の火が吹いた。
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