81話 悪役令嬢断罪シーン
「捕らえろ!」
ライオネル殿下とは別の低い声が響く。衛兵がジュリアナ様を捕らえて下がらせる。カツカツと降りて来たのは、黒髪をきっちりと整えたノクタリウス様だ。
「何をするの!?」
「生誕祭に第二王子の婚約者に暴行を加えた罪、並びに普段からの嫌がらせの数々をもって、ジュリアナ・ハートフォードを罪に問う!」
ぎゃーぎゃーと騒ぐジュリアナ様に、ノクタリウス様は私への嫌がらせの数々を記した書類を突きつける。
予想外の出来事に目を瞬いた。思ったよりも悪役令嬢断罪シーンっぽくなってしまった。
「そんなっ!」
「連れて行け!」
ノクタリウス様は手際よくジュリアナ様を連れて行こうとする。
「イヤよっ!」
なおも抵抗するジュリアナ様に、私は、立ち上がって近づいた。ノクタリウス様が手で制止してきたけど、大丈夫と片手をあげる。
私はジュリアナ様ににっこりと笑ってみせた。
「人を突き飛ばすようなお方には殿下はどう頑張っても似合いません事よ。直訴、させていただきますから」
宣戦布告。彼女はあろうことか第二王子の婚約者を突き飛ばしたのだ。しかも、生誕祭というお祝いの場で。
しかも、嫌がらせはノクタリウス様によって証明され、暴力については目撃者多数、どうあっても言い逃れはできないだろう。ジュリアナ様を慕っていた令嬢たちも事の重大さに気づいたのか、遠巻きに見ているだけだ。
生誕祭並びに婚約発表を侮辱されたのだ、直訴すればそれなりの刑罰が待っているだろう。怪我はないから、打ち首まではいかないわよね。国外追放はどうかしら。学生だし、よくて学院の出席停止、退学ぐらいでしょうね。もしかしたら、侯爵家の責任者は顔に泥を塗られたと、この娘をどこか遠い土地へやってしまうかもしれないけど。
目の前から消えてくれるなら、それは万々歳だ。
ジュリアナ様は私の言葉に口をぱくぱくさせて、指をさすだけ。
「では、ジュリアナ様。ごきげんよう」
私は軽くお辞儀をすると、ライオネル殿下に目配せをする。ライオネル殿下はすぐに私の手を取ってくれた。
「ハートフォード嬢、処分の沙汰は追って伝える。今日は生誕祭だ、牢獄に入れるようなことはしない。ハートフォード侯爵、ノクタリウスと話をつけておくように」
ジュリアナ様の父が、頭を下げジュリアナ様を連れて行く。にも関わらず、ジュリアナ様は私を恨めしいほど睨みつけてきていた。
「皆もパーティを楽しんでくれ」
ライオネル殿下は話をまとめると、静まり返っていた会場がわっと沸く。音楽も鳴り始めた。
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