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五角関係が世界を滅ぼす!? 恋愛経験ゼロの私、エセ占い師になって恋愛を正す!  作者: 桜皐ゆるり


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80話 突き飛ばされる

 ライオネル殿下を手で静止して、私は壇を折りてジュリアナ様の前へと歩を進めた。目を細めて彼女を見る。

「シルヴァレーン家は辺境伯です。普通の伯爵とは違います。それと、私の母親はエヴァリーナ・シルヴァレーン。王族直属の占い師です。家柄や血筋で侯爵家に劣りなどしないと思いますが?」

 貴方の相手は私でしょう? とはっきりお前に劣ってなどいないと言い切る。

「おだまり! 私は殿下に――」

「ジュリアナ様が私に話しかけて来たのですよね?」

 私はうっすらと笑みを浮かべながら、ジュリアナ様の言葉に割って入った。明らかに瞠目して私を見るジュリアナ様。けど、一瞬にして表情が怒りに染まった。目を真っ赤にして、私を睨みつけてくる。

 ここまで頭に来た様子なら、ジュリアナ様は私のことを突き飛ばすわね。パーティ会場の真ん中で、かっとなって突き飛ばす光景。うん、見たことある、大丈夫想像ができる。

 頭でシミュレーションした通りに、カッとなったジュリアナ様が動く。私は回避することなく、衝撃のまま後ろへと倒れ込む。

 もちろんライオネル殿下には倒れる可能性があることは伝えてあるから、倒れる前に支えてくれるわけで。背中を力強い腕が受け止めてくれる。

「大丈夫か?」

「はい……」

 思ったよりも近距離で一瞬体が強張るけど、ふっと息を吐いた。手汗がすごくて、気を張っていたのだとわかる。やっぱり彼が近くにいると安心するみたいで、今まで周りの声が聞こえてなかったのに、今はうっすらと聞こえる。ほっとする。でも、今はジュリアナ様の対応に集中しないと。

 不自然にならないように、ライオネル殿下の顔を見ながら私はお礼を言う。

「おかげさまで大事には至らなかったです、ありがとうございます」

 ライオネル殿下は優しい手つきで助け起こしてくれる。腕を取って怪我がないかを確認しているので、じんわりと汗がにじんでしまうけど大人しく従う。

「婚約者を助けるのは当たり前だ」

 まっすぐ赤い瞳が突き刺さってきて、ドキっとする。本音ではないと知っているのに、心臓が大きく鳴って収まらない。

 ジュリアナ様がまた動くのが視界の端に見えてはっとした。

「捕らえろ!」

面白い、楽しい、と感じて頂けたら、

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