74話 ラルフの感情
そんな真剣に打ち込むような性格なのかしら、あののれんに腕押しのような人が……?
「今の雰囲気からは想像できませんね……」
「表では飄々としていたが、練習場所に行くといつも居たからな、練習相手になってもらっていた」
ライオネル殿下が練習するのは、とても想像がつく。ひとりででも死に物狂いで真面目にやってそう。それでフィリップ殿下とかが見に来たら、目を輝かせて駆け寄りそうよね。
いや、そんな想像はいらない。ラルフさんと一緒に練習するような仲だったってところが重要なところよね。
「ラルフさんと仲がいいのでしたら、アウレリア様のことを聞いてはいないんですか?」
「恩人って話ぐらいだな。すぐはぐらかすんだよ、あいつは」
やっぱりゲームとの情報に差異はなさそうね。ライオネル殿下が頬杖をついて、眉根を寄せている。何か、気になることでもあるんだろうか。口を挟まずに、待つ。
「でもなあ……アウレリアの話をするとあいつ目が笑ってねえんだよな」
「どういう感情なの……」
「わからん」
目が笑ってないって、第二王子を前にした表情じゃないと思うけど。ライオネル殿下が余計なこと言って怒らせてるんじゃない?
「普通にアウレリアから花もらったとか、幼い頃何で遊んでたとかそういう話だからなっ」
視線が物語っていたようで、特に変な話はしていないと主張されてしまった。
これは、ラルフさんと直接話してみた方がいいかしら。でもあの人、今まで生徒会室で話しかけてものらりくらりと躱すのよね。ケイティと仲良かった気がするから、ケイティに相談してみようかしら。
ライオネル殿下は読み終わった書類を元の場所に戻し、鍵を閉める。それから私は城内から家に戻るように馬車へと案内された。ライオネル殿下はフィリップ殿下の執務室へ行くらしい。
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