64話 第一王子と平民の恋心
「ケイティ……君が好きだ」
「……フィリップ殿下。私は……平民です」
告白したフィリップ殿下にケイティは顔を伏せたまま、小さな声で応えた。フィリップ殿下はいつもの優しい笑顔ではなくて、真剣にケイティをまっすぐと見つめて言葉を紡いだ。
「わかってる……ケイティ。私が王位継承を破棄したらどうする?」
「え……」
立ち上がりそうになったライオネル殿下を慌ててひっぱって引き留める。
「何やってるんですか、静かにしててくださいっ」
「ぐっ……しかし……」
小声で注意するも、今にも飛び出しそうだ。飛び出したら怒られるどころじゃないので止めていただきたい。
私とライオネル殿下の小声の攻防をよそに、フィリップ殿下はケイティに言い募る。
「私は、ケイティと一緒に居たい」
「……ダメです。フィリップ殿下は王になるお方。私は平民。それに私は自分の魔法使いの力をわかっています。平民だけど、きっとここに居たら争いの種になるくらいの力があるのをわかってます……だから、旅に出ようと思っているんです」
フィリップ殿下の気持ちを受け止めたようにケイティは顔を上げて、目元を緩めて言葉を綴った。彼女の決意は重かった。
「……それは覆らないのかい……?」
「……私、この国が好きです。平民のみんなも笑顔で毎日過ごせてる。私の家族も、パンを買いに来てくれるお客さんも。それは王様のおかげで、フィリップ殿下にはその力があるじゃないですか」
ケイティはにこっといつのも笑顔を浮かべていた。かと思えばくしゃっと顔を歪めて泣きそうな表情になる。
「本当は私だって……でも、ごめんなさい、私には身分不相応なんです。そこまで踏み込める勇気はないです。本当にごめんなさい」
綺麗ごとを並べてどうにか気持ちに整理をつけようとしていたのだろうけど、気持ちが溢れ出たケイティの目からは涙がぼろぼろと零れた。
ケイティは立ち上がって、ごめんなさいと言いながら走って行ってしまう。
「あ、ケイティ……!」
私は立ち上がって彼女を追いかける。ライオネル殿下が、待てって止めたけどもう遅い。そっちは任せたという視線だけ投げて私はケイティを追った。
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