58話 生徒会に入らない?
「そうそうケイティにお願いしたいことがあったの」
「はい? 私ですか?」
「ええ、貴女、生徒会に入らない?」
「私がですか!? そんな無理ですよ!」
彼女にずっと打診したかったことを言えば大きな声を出して首を横に振られてしまう。
「実力は俺が保証する」
「ライオネル殿下まで何をおっしゃってるんですか! それに私は家の手伝いがありますし、時間がありませんよ」
ライオネル殿下の言葉にも首を横に振って、断る理由を明確に伝えてくる。授業が終わった後はフィリップ殿下と魔法の練習があって、その後は家のお手伝い。あっという間に一日が終わってしまうのはわかる。私が手をこまねていると、ケイティの理由をライオネル殿下が崩しにかかった。
「兄上との魔法の練習期間がそろそろ終わるはずだろう?」
「うっ……」
ケイティが言葉に詰まる。私はライオネル殿下を見て、より詳しい説明を求めた。
「そうなの?」
「ああ。教えることがもうほぼないそうだ。むしろ兄上よりケイティの方が魔法に関してはすでに上の実力らしい」
「すごい!」
さすが将来は最強魔導士ね。期待の眼差しでケイティを見れば、顔を真っ赤にしてケイティはまた首を横に振る。
「わ、私なんてまだまだです……!」
「どちらにしろ魔法の練習は頻度が落ちるはずだ。その間だけでも生徒会に入ってみないか?」
「私、ケイティと一緒にお仕事したいわ」
「うっ」
ライオネル殿下が畳みかけるので私もそれに乗る。ケイティは言葉を詰まらせて目を泳がせている。これは迷っているわね。いいわ、同士として断れない言葉を唱えてあげる。
「それにアウレリア様も生徒会にはいるのだけど……ね?」
「うぐっ」
推しを見るチャンスを不意にするのか。という圧力を込めれば、ケイティはくぐもった声を出し、視線を落としながらテーブルに震えた拳を乗せる。
「……謹んでお受けします……」
絞り出した声に心の仲でガッツポーズをした。
「では、フィリップ殿下に打診をお願いしますね、ライオネル殿下」
気分がいい。ライオネル殿下は苦笑いながらも頷いて了承してくれる。万事うまくいっているとまではいかないけど、いい流れだ。
「では、決まったら連絡ください。家族にも話さなければいけないので」
ケイティは立ち上がって私たち二人に頭を下げる。引き留めてしまっていたけど、彼女は家の手伝いがあるのだ。そこまでのんびりはしてられないのだろう。
あと、ケイティは空気を読めるから、ライオネル殿下が来たのが私に話があるということをわかってるのかもしれない。
ケイティを見送って、私は紅茶で喉を潤すとライオネル殿下に向き合った。
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