56話 幼い頃に出逢っていたかもしれない
結局、生徒会に戻ってもライオネル殿下とはぎこちなくて、占いの館に避難してまった。様子を見に来てくれたケイティを捕まえて、占いをするための椅子に向かい合って座り今日の出来事を話してしまった。
「幼い頃に出逢っていたかもしれないんですか?」
「たぶん。思いだせない私にいらついてたのかも」
最初から突っかかってこられた。でも、一緒にいるうちに人の心配はするし、憎まれ口は叩いていたとしてもなんだかんだで手伝ってはくれる人だとわかった。だからこそ、最初の対応を思い起こせば、きっと忘れてる私に怒りを覚えてたに違いない。
「寂しかったとかではなく?」
「ライオネル殿下が? どちらかといえば幼い頃に私が、告げた内容が気になってるだけな気がするわ」
昔は魔法で占いが出来たみたいという体で、ケイティには一通り話してある。
「十六歳で戦場に立てなくなるって内容ですよね。何が起こるのでしょうか? 何か思いだせたりしないんですか?」
「それがさっぱり……」
まったく思いだせない。それだけ思いだしたくないのか、懐かしいという感覚はあっても、記憶が戻ってくることはなかった。
「記憶を失くしたのは、痣について言われてからなんですよね?」
「そうよ。ジュリアナ様が痣を見て悲鳴を上げたあの日、それから前の記憶がないの」
「トラウマに向き合うしかないのでしょうか……」
「……ジュリアナ様を見ても倒れなくはなったんだけどね」
やっぱりまだ私は彼女と向き合わないといけないようだ。アウレリア様の恋愛事情の方が重要だというのに、何故そこまで彼女に重きを置かなければならないのか……。
「話は変わるけど、アウレリア様のこと……ケイティはどう思う?」
「そうですね、ミシェル様の恋路が上手くいけば話してくれると思います!」
「うん? 私関係なくない?」
「いえ、ミシェル様。恋愛に疎い相手に、恋愛相談はできません」
厳しい。けど、本当にそうだと思う。だからこそ私は占い師になると決めたのだから。
「……でもライオネル殿下とは契約だし、別に本当に好きあってるわけではないわ」
「ミシェル様は本当に鈍感ですからねぇ」
「もう! ケイティまで!」
どういう意味なのかしらと睨め付けるとケイティは視線を上の方に外す。すぐにちらっと私を見てからへらっと誤魔化すように笑うと、ケイティは話題を変えた。
「ミシェル様は、いままでどのように恋愛相談を受けてきたんですか?」
そういえば最近まったく前世の知識を行かせてなかったことを思いだす。
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