53話 アウレリアの気持ち
「ミシェル様は困るでしょうけど、わたくし。今日こそは折れないって決めましたの」
「何があったんですか?」
「いつものことよ。ノクスがわたくしを子ども扱いするから、いい加減にしてほしいと言ったの」
ノクタリウス様も過保護になっているかもと言っていたし、双方相手が感じていることはわかっているのね。ノクタリウス様は改めるつもりがないって言ってたから、いままではアウレリア様が折れて上手く納めていたわけか。
「わたくしはもう身体も弱くありませんし、独りで出来るのですが、何かにつけて口や手を出してくるんですもの。うんざりしますわ」
うんうんと相槌を打っていればアウレリア様がため息を吐きながら愚痴を零す。王城の中庭、決まった人間しか出入りできないし、私が様子を見に来たことでノクタリウス様とフィリップ殿下が来ることはしばらくないものね。多いに愚痴を吐ける環境ということだ。
「ライオネルは心配してるからだろうとしか言いませんし、ね?」
アウレリア様のじんわりとした怒りが笑顔を通して伝わってくる。ライオネル殿下がぐっと黙ってるところを見ると、すでにいろいろと言われた後のようだ。言い返せばそれ以上返ってくるのだろう。
で、あればアウレリア様からのノクタリウス様の気持ちを知るチャンスでは? 多少言われるのを覚悟して、話題を出してみよう。
「ノクタリウス様はアウレリア様が好きだからこそ構ってしまわれるのではないでしょうか……」
「わかっているわ。でも、妹のように構われてもねぇ?」
妹としか見られてないと思っているのか。あんまり湾曲に聞く言葉が思い浮かばず、私はもしという前提でさらに深く切り込む。
「もし、妹としてではない愛情だとしたらいかがなのでしょうか?」
「…………」
私の言葉にアウレリア様は大きく目を見開く。考えたこともなかったという表情に、背中に冷や汗を感じる。書記で知ってるからと言って、勝手に人の恋心を暴露してよかったのだろうか、と後悔する。
面白い、楽しい、と感じて頂けたら、
下の星マークから評価やブックマークをいただけますと、今後の活力になります!
 




