51話 話しやすい相手
しばらくして生徒会室へ来たのはフィリップ殿下だった。
「おや、珍しい組み合わせだね」
「アウレリアが出ていってしまって、ライオネルが追って行きました」
「ああ、またきつく言いすぎたのかい? もう少し優しくした方が良いっていつも言ってるよね」
「しかし、アウレリアは隣国へ嫁ぐ身。しっかりしてもらわないと」
「頭が固いんだから、アウレリアは教養も立ち振る舞いもどのご令嬢よりよくできているよ」
「殿下がそう甘やかすからです。私は厳しく行きます」
ノクタリウス様は、フィリップ殿下にダメ出しされてもアウレリア様に対する対応をまったく変えるつもりはないのか。どっちがいいとかは蚊帳の外にいる私には何も言えないけど、戻ってきてないってちょっと心配になるんだけど。
「あの、アウレリア様は大丈夫でしょうか……」
「レオ相手じゃアウレリアは困ってしまっているかもしれないね」
私の不安に応えてくれたのはフィリップ殿下だ。しかし、それに対してノクタリウス様が不満を露わにした。
「そうでしょうか? 話しやすい相手だと思いますけど」
「普段は話すけどね……まだ戻ってこないところを見ると、アウレリアがレオに説教してるかもね」
「はあ……まあ一緒にいるのであればいいのですが」
フィリップ殿下笑いながら、私の方に向きを変える。背がぴっと伸びる。
「シルヴァレーン嬢、申し訳ないが様子を見てきてくれないかな。私やノクスじゃアウレリアも気まずいだろうし」
「いえ、そこは僕が……!」
フィリップ殿下の提案に、ノクタリウス様が割り込んでくる。ずっと捜しに行きたい気持ちを抑えながら仕事をしていたせいもあって、切羽詰まっている。
「ノクス、アウレリアも女の子なんだから、女の子同士で話をした方が気が楽なこともあるんだよ?」
「しかし――っ!」
フィリップ殿下の説得も火に油なのか、はいとは言えないノクタリウス様。フィリップ殿下は眉尻を下げる。
「それに、君にしかできない仕事があるんだ。これをやってもらわないと国の運営に支障があってね? 理解してくれるよね」
「……解りました」
ライオネル殿下と似たようなことを言っている。フィリップ殿下の方が丸め込むのは上手いけれど。ノクタリウス様を引き留めるのに有効なのだろう。
「さて、シルヴァレーン嬢。アウレリアのことお願いできるかな?」
「構いませんが……何処へ行けば……」
身近の人が来るよりも、第三者の方が案外落ち着くものなのだろう。けど、私にはアウレリア様とライオネル殿下がどこにいるかさっぱりわからない。
フィリップ殿下は生徒会長用の机まで行くと、メモにさらさらっと何かを書いて私に差し出した。
「二人ならね、きっとここだよ」
にこっと人好きする笑顔を浮かべて、よろしくねと手を振られてしまった。私は頭を下げてメモを受け取って生徒会室を後にする。
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