4話 恋愛相談もいいかもしれない
「シルヴァレーン嬢、従者がお迎えに来てます。歩けますか?」
「はい、大丈夫です」
私は横たわっていたベッドから降りて鞄を持ち、彼がエスコートしてくれる扉を抜けた。
「自己紹介が遅れました。僕はノクタリウス・グレイヴァンドです。生徒会の副会長をしてますので、何か不都合なことがあれば頼っていただければと思います」
ケイティに対応するのとは態度は真逆ね。でも、いくら微笑みを浮かべながら優しく話しても、事務的な内容。これは暗に倒れてんじゃねぇよって言われてるのかしら。貴族特有の遠回しな嫌みになっただけね。
「ありがとうございます。体調には気を付けて過ごしますわ」
「ええ、お父様お母様にはよろしくお伝えください」
あ、違うわ。これお母様狙いだわ。お母様は王族直属の占い師で有名なのよね。本物の占い師が使う力って、魔法の一種で才能がないと使えないの。予知魔法ってとこかしら。仲良くしておけば視てもらえると思ってるのかもしれないわね。
「はい、よくしていただいたとお伝えしておきます」
一応社交辞令として、お礼の贈り物と手紙くらいは出さないといけないしね。
「シルヴァレーン嬢のお母さまは、学園でも占い師をしていたとか」
「ええ、恋愛相談をよく受けていたと聞いています」
お母様もこの学校の卒業生なのよね。たしか趣味で恋愛相談を受けていて、部活として活動してたとか。だから、その部活で使ってた占いの館が、いまもまだ学内にあるのよね。
「シルヴァレーン嬢は部活は何を考えておられますか?」
ああ、はい。私に占い部をやらないのかって聞きたいのね。しかも、興味があると。
ちょっと、待って。これはチャンスでは? 重要人物が興味を持っているうえに、恋愛相談を上手くこなしていけば、痴情のもつれ解消できちゃったりするのでは? 女性はもれなく占い大好きだしね。
残念なことに占い師としての力は継承していないけど、やりようによっては出来る気がする。
「お母様に相談してみますわ」
決定事項ではないが、検討しているという旨を伝えた。楽しみにしているという返答に、私は微笑むに留めて、ただ静かに彼について歩いた。従者が見えたため、彼もそれ以上話はせずに学院の前の馬車までエスコートしてくれた。
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